よくない事
「理沙ちゃん、何かあるの?」
「うん。掲示板にね、優太が未成年と淫行って書かれてたの」
「それって」
理沙ちゃんは、オレンジジュースを飲みながら遠い目をしながら言う。
「理沙の事だと思うの」
「それなら、大丈夫だよ」
「よくないよ」
「どうして?」
「だって、優太と理沙は結婚してないから…」
私は、理沙ちゃんの手を握りしめる。
「そんなの関係ないよ!理沙ちゃんとまっつんさんが、愛し合ってたら世間は面白おかしくなんて言わないから」
「凛ちゃん」
理沙ちゃんは、オレンジジュースを置いて私を抱き締めてくる。
「優太と居たいよ。だから、嘘を書かれたくない。優太は、私を拒んでたんだよ!未成年とは付き合いたくないって…。だけど、理沙が、優太といれないのは嫌だって何度も何度も言ったの…」
「そのお陰で、今こうして付き合えてるんだからいいじゃない」
「世間が理沙と優太を叩いても、凛ちゃんは味方でいてくれる?」
私から離れて理沙ちゃんは、上目遣いで覗き込む。
「当たり前だよ!私は、理沙ちゃんの味方だよ」
「凛ちゃん、ありがとう。理沙も凛ちゃんの味方だから…。だから、たくむんとの事、後悔しないで…。凛ちゃんとたくむんは、ちゃんと愛し合っていたよ。理沙は、わかってるから」
理沙ちゃんの言葉に私は泣いていた。
「ごめんね、理沙ちゃんだって辛いのに…」
「いいの、いいの」
理沙ちゃんは、そう言って頭を撫でてくれる。私は、理沙ちゃんの優しさに甘えている。大人なのに、子供みたいだ。
「凛ちゃんは、何で専業主婦をしてるの?」
突然の質問に驚いた。でも、これはよく聞かれる事だし。近所でも、「毎日家にいれていいわねー」などと嫌味を言われる事もあった。
「どうしてかって聞かれたら、治療の副作用が酷かったからかな」
「あー、何か理沙の質問酷かったかな?悪気はなかったんだよ!ただ、何でなのかなーって思っただけなんだけど」
理沙ちゃんは、困った顔をしていた。多分、私、今凄く嫌な顔をしていたんだと思った。
「ごめんね。昔、いとこに言われた言葉が引っ掛かってるのかも」
「何て言われたの?」
理沙ちゃんは、私の顔を覗き込んだ。
「専業主婦とか男の収入あてにして堕落してる人間に言われたくないって!体調悪いとか働けないやつの言い訳でしょ?そもそも、子供を産む気もないやつが専業主婦とか意味わかんないんだけどって…」
「何それ!酷い言い方」
「実際、子なしの専業主婦ってよくないのかもね」
理沙ちゃんは、そう言った私の手を握りしめてくれる。
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