相談する事

相沢さんの言葉に俺は、口を開いた。


「あの、どうしてもジャケット写真とPV。一緒にしたい人がいるんです」


「どんな人?」


「女の人です」


「どんな感じの人?明日とか会えたりするかな?」


「来てくれるかわからないけど、誘ってます」


相沢さんは、顎に手を当てて何かを考えてる。


「うーん。慈善事業じゃないのは、わかってるよね?星村君」


「はい、勿論です」


「決めるのは、星村君じゃなくてこっち側だからね」


「はい」


「会ってみて、返事をするでもいいかな?」


「はい」


「星村君的には、その人が居てこの曲は完成するって感じがするのかな?」


相沢さんにそう言われて頷いていた。


「そうか…。って、事は、星村君にとって、その人は譲れないって事だよね?」


「はい、そうです」


「わかった!じゃあ、そのつもりで見させてもらうよ」


「宜しくお願いします」


俺は、相沢さんに頭を下げる。


「まぁ、まぁ」


相沢さんは、俺の肩を叩いた。


「堅苦しいのはおしまい。お腹すかない?」


「すきましたー」


「じゃあ、みんなでご飯でも行こうか!おごるよ」


「マジですか!やったー」


かねやんとしゅんは、はしゃいでいた。


「じゃあ、行こう」


「はい」


バタバタと俺達は、片付けをして相沢さんと一緒にカラオケBOXを出る。いつか、気軽にこれなくなったりしちゃうのかな?相沢さんが、お金を払ってくれている。


「何か、すみません」


「いいの、いいの!こっちのワガママに付き合ってもらったんだから!駅の近くの居酒屋に行こうか!凄く美味しいとこあるから」


「行きたいです」


かねやんとしゅんは、相沢さんと並んで歩いてる。俺は、まっつんと後ろからついていく。


「凛さんで決まったらいいな!」


「うん」


「綺麗だからいけるよ!凛さんなら、相沢さんもオッケー出してくれるって!心配すんなよ」


まっつんは、俺の肩をトントンと叩いてくれる。そうだよな!きっと、大丈夫だよな!凛なら、絶対認めてもらえる。だって、あんなに綺麗な人だから…。


駅前にある居酒屋【しのみや】って所についた。


「字からしてうまそうですね」


かねやんの言葉に相沢さんは笑った。確かに、【しのみや】って文字はグニャリと崩れて書かれてる。


「有名な書道アーティストさんに書いてもらったって、大将が言ってたよ」


相沢さんは、そう言ってガラガラと引戸を開ける。


「いらっしゃいませ!あー、相沢さん。奥の部屋ですね」


「お願いします」


相沢さんは、常連らしい。大将がそう言うと、店員さんが相沢さんを奥の部屋に案内する。

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