楽しい晩御飯

案内されたのは、座敷になってる部屋だった。


「好きなの頼んで!」


相沢さんは、端の席に座った。俺達も靴を脱いで上がる。かねんとしゅんは、相沢さんとメニューを見ている。


「拓夢は、何食べる?」


「適当に頼んでよ」


「わかった」


かねやんは、そう言って相沢さんとしゅんとメニューを見てる。


「気になるの?」


スマホを取ろうとして、やめた俺にまっつんが声をかけてきた。


「あー、うん。来てくれるかなーって」


「返事は?」


そう言われてスマホを見るけど、メッセージはなかった。


「ない」


「忙しいんだろ?そのうち来るよ」


「そうだよな」


店員さんが、やってきてビールを五つ持ってきてくれた。


「じゃあ、明日に乾杯だね」


相沢さんは、そう言ってグラスを持った。


「明日の成功に乾杯」


『かんぱーい』


ゴクゴクと喉を鳴らしながら、全員がビールを飲んだ。


「うまー」


「生きかえった」


「最高です」


「よかった、よかった」


相沢さんは、ニコニコしながらみんなを見つめている。かねやんとしゅんと相沢さんは、店員さんに料理を注文してる。


「凛さんと別れるつもりだよな!」


まっつんは、俺にしか聞こえない声で話してくる。


「うん」


「そうだよな!これが、うまく行ったら拓夢は顔さされるようになるし。世間は、許さないよな」


「わかってる」


「でも、本当は悲しいだろ?」


まっつんは、そう言ってビールを飲んだ。


「俺の気持ち何かどうだっていいんだよ」


「そっか…」


「だってさ!俺が邪魔してるわけだろ?今…」


「邪魔だなんて思ってないだろ?」


「でも、イケナイ事なんだよ!どう頑張ったって」


まっつんは、俺の言葉に眉間に皺を寄せて、「旦那さんと別れないってわかってるんだな」と小さな声で呟いてきた。


「当たり前だろ!入れないんだ。俺は、そこに割って入れない」


「そっか…。仕方ないな」


まっつんは、泣きそうな顔を一瞬、俺に向けて頷いていた。


「お待たせしました」


相沢さん、かねやん、しゅんが頼んだ料理が運ばれてくる。


『いただきまーす』


俺達は、お腹がすいていたから食べた。


「うまー」


「最高です」


下らない話をしながら、沢山笑って、ご飯を食べる。


『ごちそうさまでした』


「いやー、楽しかったよ!未来あるバンドと食べる晩御飯は最高だよ」


相沢さんは、そう言って嬉しそうにニコニコ笑ってくれていた。


「俺達も、めちゃくちゃ楽しかったです」


かねやんの言葉に、俺達全員頷いた。


「明日は、リハーサルもあるから!四時には、ライブハウスに来てもらえるかな?」


『はい』


「ハハハ!元気だねー」


相沢さんは、そう言いながらニコニコと楽しそうにしている。

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