殺しそうだぞ
いつもの場所について、俺は店員さんにいつもの部屋のマイクとデンモクを渡される。まだ、まっつんは来てないようだった。俺は、いつもの部屋に入って椅子に座った。
ブー、ブー
スマホのバイブ音がして、俺はスマホを取り出した。
【今日は、ありがとう。拓夢が居てよかった】
凛からのメッセージが、入ってきた。
【こちらこそ、ありがとう。旦那さんに普通に接するんだよ】俺が凛にメッセージを送った瞬間に扉が開いた。
店員さんは、珈琲を2つ運んできた。
「ありがとう」
まっつんは、そう言って店員さんの後ろから現れた。店員さんは、珈琲を置いていなくなった。
「拓夢、大丈夫か?」
「早く教えろよ」
「まー、まー、珈琲飲めよ」
俺は、イライラしながらガムシロップを注ぐ。
「いれすぎな」
まっつんに取り上げられる。俺は、ミルクをいれる。
「それは、俺のだろ?」
「あっ、ごめん」
俺は、まっつんにミルクを返した。凛のお陰で、まっつんと普通に接する事が出来てる。まっつんは、ミルクを珈琲に入れながら俺を見つめる。
「今の拓夢、平田君殺しそうだぞ」
そう言って、カラカラと珈琲を混ぜてる。
「殺したりなんかしない」
俺は、嘘をついて珈琲を飲んだ。甘すぎてビックリした。
「拓夢、凛さんがもう拓夢の一部になったんだな」
「意味わかんねーから」
「拓夢の中にあった何かを凛さんに預けたんだろ?」
まっつんの言葉に驚いて俺は、まっつんを見つめていた。
「その顔は、図星だな」
「悪いかよ」
「悪いなんて言ってないだろ!ただ、今の拓夢は冷静な判断が出来ないって言ってるんだ」
「出来るよ」
まっつんは、その言葉に俺を見つめる。
「これから、バンドも再開するんだ。拓夢が、人なんか殺したら終わりだよ」
「だから、殺さないって」
「殺すよ!拓夢は、そんな目してたよ」
長年母親に死ねと言われてきたまっつんには、俺の平田さんへの殺意が見えているようだった。
「わかったよ!じゃあ、どうすりゃいいんだよ」
「俺も一緒についてく」
「まっつんが?何しに」
「リベンジポルノを平田君がやったのか、ちゃんと聞きたい」
「俺が、嘘ついてるって思ってんの」
「そうじゃない」
まっつんは、そう言って俺を見つめてる。今までなら、俺はまっつんのこの目から逃げようとしてた。
「じゃあ、何?」
「事情があるかもしれないだろ?だから、俺も話し一緒に聞くよ」
「わかった」
「明日、一緒に行こう!平田君に連絡しとくから」
「わかった」
俺は、そう言うしか出来なかった。
「俺が、悪いんだよな!ごめんな。拓夢」
まっつんは、そう言って珈琲を飲んだ。
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