拓夢の話12
何の音?【カクヨム版】
「あったま、いたい」
平田さんの母親の声で、俺も目が覚めた。
「ごめん、起こした」
「いや、大丈夫です」
俺は、ゆっくり起き上がった。洗面所で、顔を洗って口をゆすいだ。
「もうすぐ、8時だって」
「ですね」
交代で、平田さんの母親が現れた。もしかすると、平田さんと凛がやってしまうかも知れない。そう思うと、なかなか眠りにつけなかった。俺は、テーブルにある水を飲んだ。
「星村さん、もうちょとしたら私、凛迎えに行くから」
「はい」
平田さんの母親は、水を飲んで煙草に火をつける。
「臭くないんですね?」
「あー、これね!うん。スー、ハー」
インディアンみたいなマークがついてる煙草だった。
「心配してる?あの人と凛がしちゃったんじゃないかって」
「えっ、ああ!少しは」
「大人だから、我慢するでしょ?」
「ですね」
平田さんの母親は、煙草を灰皿に押し当てる。
「珈琲とって」
「はい」
冷蔵庫から、珈琲を取り出して渡した。
「はい、あんたも飲みな」
紙コップにいれてくれる。
「ありがとうございます」
「いいって」
そう言って、珈琲を二人で飲んだ。
「モーニングぐらい食べますか?四人でって嫌ですよね」
「いいんじゃない?車で、送ってあげるよ」
「いいんですか?」
「星村さんの優しさに免じて許してあげる!今日だけは」
そう言って、ニコニコ笑っている。
「じゃあ、食べましょう」
平田さんの母親は、煙草に火をつける。俺は、珈琲を飲み終わった。
「体流してきていいですか?」
「いいよ」
俺は、お風呂場で体を洗っていた。四人で、モーニング食べるか!我ながら、大胆な事言ったよな!シャワーを浴びて、タオルで体を拭いて服を着る。凛と過ごせる日々を1日でも多く大切にしたい。そう鏡に映る俺に誓った。
「上がりました」
俺は、そう言ったけど…。平田さんの母親は、聞いてなかった。
代わりに、音が響いてる。
「んっ」
「ちゃんと言って」
「欲しいよ、凛君」
「わかった」
何の音?
平田さんの母親は、ダンッとスマホを机に叩きつける。
「早く用意して」
「今の、何ですか?」
「凛とあの人がやってる音声だよ」
そう言って、平田さんはまたさっきのを再生した。確実に、凛が平田さんに欲しいと言ってる。
「早くして」
金切り声で、叫んで俺を睨み付ける。
「わかった」
俺は、急いで用意をする。水をゴクゴク飲んだ。
「行くよ」
平田さんの母親は、かなり怒ってる。俺達は、部屋を出て二人がいる部屋にやってきた。
ビー、ビー、ビー、ビー
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