愛なんて失くなればいい
「凛、最高だったよ!最後にふさわしかったね」
もう、死んだのかと思った。下半身が焼けるように痛くて堪らない。まだ、生きてる。よかった。
「何回出来たかな?もう、一生分は出来たね」
この日、私は蓮見信吾の玩具をやっと解放された。
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愛なんて信じない。そんなものは、幻想でしかない。セックスが大嫌いになった私は、誰とも付き合わないまま生活をしていた。
「勿体無いよ!凛ちゃん、こんなに綺麗なのに…」バイト先の片平さんは、私にいつもそう言ってくれた。龍ちゃんに出会うまで、私は闇の中を手探りで歩いていたんだと思う。龍ちゃんを紹介してくれたのは、片平さんだった。一度だけ会ってみてと言われたのだ。いやいやながら、私は、会った。
「は、初めまして、皆月龍次郎です」
「初めまして」
「あの、凛さんって呼んでも?」
「どうぞ」
自己紹介も私はしなかった。だって、目の前にいるこの人を何とも思わなかったから…。
「凛さんは、好きな食べ物はなんですか?」
「食べれたら何でもいい」
「あっ、えっ、そうですか!好きな飲み物は?」
「飲めたら何でもいい」
「そうですか」
龍ちゃんは、困っていた。
「どうせ、セックスしたいだけでしょ?」
喫茶店で、私はそう言い放った。龍ちゃんは、驚いた顔を私に向けて…。ハンカチを取り出して、汗を必死で拭ってる。
「それをしなければ付き合うって事になりませんか?」
「えっ?」
「いや、そこに行くまでの過程を全部捨てて!すぐに、そこに行かないと凛さんとは付き合えないのでしょうか?」
私は、その言葉に龍ちゃんに興味を持った。それから、半年間はこんな風にお茶をしたりご飯を食べに行った。
「結婚を前提に付き合ってもらえませんか?凛ちゃん」
そう言われた頃には、少しだけ愛を信じてた気がする。
龍ちゃんは、私の恐怖心を拭うように優しく大きな愛で包み込んでくれた。
「凛ちゃん、お待たせ」
「龍次郎君、遅い!もう帰ろうと思ってた」
「ごめんね、電車が遅れちゃって」
どんなワガママも受け入れてくれた。
「凛ちゃん」
「龍次郎君」
キスをするまでに、半年もかかるなんてあるのかと思った。
「あー、駄目だ。出来ない!それだけって思われたくない」
「いいから、続けて」
そうやって、龍ちゃんは私の痛みや苦しみをゆっくり取り除いてくれた。
「龍次郎君、私ね」
初めての人の話、蓮見君の話。全部ぶちまけた。拓夢が私にしたみたいに
「生きててよかった」
そう言って、龍ちゃんは私をギューっと抱き締めてくれた。
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