行きたかった未来…

「こっち側は、嫌だからね」


私は、自分の左手にはまってる指輪を撫でる。


「凛さんも嫌なの?」


「嫌だよ!私は、女性だからよけいに嫌!惨めだよね。子供が産めないって…。結婚しなかったら、そう思わなかったのに」


さっきのベビーカーが通りすぎてく。


「凛さんは、惨めじゃないよ!あー、うまく言えないんだけど…。結婚だけが全てじゃないし、子供だけが全てじゃないし…。難しいわ!頭悪いから」


しゅんさんは、そう言って笑ってる。


「ただ、言えるのは自分だけは自分を好きでいれるようにしなきゃいけないんだよな!難しいだろうけど」


「難しい。だって、私。いまだに、SNSに振り回されてるから」


「例えば、どんな事?」


私は、しゅんさんに妊活の掲示板を見せる。


それを見ながら、「何か、ここも仲良くないんだな」って眉毛を寄せて言った。


「そうなの」


「仕方がないのかもな!命を授かるから…」


「私は、無理だけどね」


「そんな顔しないでよ!子供だけじゃない何かはある!絶対にあるから!」


そう言ってしゅんさんが笑ってくれるから涙が止まらなくなる。


「あるのかな?」


「あるから!大丈夫!見つけれる手伝いを俺達がするから」


「ありがとう」


「じゃあ、送るよ」


「駅でいい」


「あっ!近所に知られるか」


「うん、ごめんね」


「じゃあ、コンビニで朝御飯買っていいかな?」


「どうぞ!待ってます」


「じゃあ、すぐ行ってくる」


そう言って、しゅんさんは車を降りて行った。


ブー、ブー


「もしもし」


『おはよう』


「龍ちゃん、寝ぼけてる?」


『うん』


「おはよう」


『帰るの明後日になりそうだわ』


「そうなの」


『何で、そんな悲しい声だしてんの?』


「龍ちゃんがいなかったら、寂しいから」


私は、涙を拭いながら話す。


『早く帰りたかったんだけど…。ごめんな!でも、朝一番の新幹線で帰るから!そしたら、凛を沢山抱き締めてやるからなー』


龍ちゃんは、声だけでどうして私の事がわかるのかな…。


「楽しみにしてる」


『凛を悲しませてるものが何かはわからないけど…。俺は、それを全部拭える努力するから!だから、心配すんなよ』


「してない」


『だったら、いいけど!じゃあ、俺は仕事行ってくるわ』


「頑張ってね」


『ありがとう。凛も戸締まりしっかりな』


「うん、わかった」


『じゃあ』


プー、プー。龍ちゃんとの電話が切れた。


「いい顔するね」


しゅんさんが、車に乗ってきた。


「あっ、見てました?」


「うん!さっきね。拓夢とは、違って穏やかな顔だね!旦那さん、優しい人なんだね」


「はい」


私は、しゅんさんにニコニコしながら言っていた。そう、龍ちゃんは優しくて素敵な人…。

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