今から、少し

『はい、相沢です』


「あ、あのー」


『星村君、どうしたのかな?』


「言ってる事、変わりすぎなんですが…。俺達、四人でメジャー目指したいです」


『本気で言ってる?』


「はい、本気です」


相沢さんの声が明るくなるのを感じる。


『今から、会えないかな?少しだけ飲まない?』


「今からですか!大丈夫ですよ」


『……の、いずみって言う焼き鳥屋さんわかるかな?』


「あー、二駅先です」


『じゃあ、そこに来てくれるかな?少し、話をしよう』


「わかりました」


俺は、相沢さんと電話を切った。お皿は、帰ってから洗うか!凛が作ったハンバーグや味噌汁だけは腐ったらいけないから…。冷蔵庫にしまうか!熱いまましまっちゃ駄目って、よく美沙に怒られたけど…。調味料と卵しかない冷蔵庫なら大丈夫だろう!あの時は、食材たくさんはいってたし。俺は、それをしまってから、玄関に行く。雨振ってなかったから、傘いいか…。俺は、玄関の鍵をかけて出て行く。


駅について、電車に乗って二駅先にあるいずみにやってきた。


「いらっしゃいませー」


カウンターが、メインの焼き鳥屋さんだ。


「星村君、こっちこっち」


相沢さんに呼ばれて、俺はカウンターの端に行く。


「ビールでいいかな?」


「はい」


「お腹は?」


「食べてきました」


「一本ぐらい付き合ってよ!」


「はい」


相沢さんの前に、焼き鳥の盛り合わせとビールがやってくる。


「お疲れさま」


「お疲れさまです」


「乾杯」


「乾杯」


ガチンとグラスを合わせて、お酒を飲む。


「星村君、嬉しかったよ」


「さっきの話ですか?」


「そう!凄く嬉しいよ」


そう言って、焼き鳥の盛り合わせを差し出される。俺は、その中からささみの梅シソを取った。


「すみません。いただきます」


「どうぞ!で、いつなら聴かせにこれそう?」


「あー、メンバーに相談してからになります」


「早めにおいでよ」


相沢さんは、ニコニコ笑ってくれる。


「もしかして…」


「社長に話したんだ。星村君達をプロデュースしたいって」


「本当ですか?」


「ああ、本当だよ!」


「それで?」


「君達の音源をあの日少しだけ撮っていたから、社長に聴かせたんだ!そしたら、もしデビューしたいなら必ずうちでって」


相沢さんの言葉に俺は泣いていた。


「星村君、泣かないでよ!」


「すみません、嬉しくて」


「でも、嬉しいよ」


相沢さんも泣いてくれる。俺と相沢さんは、色んな話をした。


「じゃあ、気をつけてね!まだ、飲むから」


「じゃあ、また連絡します」


「待ってるよ」


俺は、23時半に相沢さんと別れた。駅に向かって歩いてく。そうだ!みんなに話さなきゃ!スマホを取り出そうとした時だった。


ブー、ブー、ブー

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