連れてきてくれた場所

拓夢が、私を連れてきてくれた場所にいたのは、素敵な四人だった。みんな凄くいい人で!赤ちゃんの事とか、結婚してるとか、どうでもよくなった。理沙ちゃんに頭を撫でられた。私の痛みとか悲しみとか苦しみとか、理解しようとしてくれる人達だって思った。私は、トイレに行く。久しぶりに、嬉しかった。

トイレに行って、戻ろうとしてやめた。


さっきから誰かに見られてる気がする。私は、鞄の中からスマホを取り出した。


【わかった。明日、あの場所で一時に待ってます。もう、酷い事はしないから…。】凛君からメッセージが届いていた。あのパンケーキの店が、一番わかりやすいと思ったんだけど…。やめた方がよかったかな?


もしかして、凛君がいるとか?キョロキョロと辺りを見回したけれどいないようだった。さっきので、疲れてるのかな…。気のせいだよね。


「凛ちゃん、いたいた」


「理沙ちゃん」


「道、迷った?」


「あっ、うん」


理沙ちゃんがやってきたお陰で、不安は払拭された。やっぱり、気のせいだよ!


「戻ろう」


「うん」


私は、理沙ちゃんと並んで歩く。16歳も離れてるって事は、理沙ちゃんは23歳か!わかっ!


「凛ちゃん」


「うん」


「理沙ね!未成年から、優太と付き合ってるの」


「そうなんだね」


「うん!理沙が、17の時から!でね」


「うん」


「理沙、たくむんのあんな顔、初めて見た」


「拓夢の顔?」


理沙ちゃんは、ニコニコ笑って私を見つめてくる。


「そう!あんな愛しいですって顔。初めて見た」


「そんな出会って、1ヶ月も経ってないから」


「恋は、時間じゃないから!私も、優太の事三日で好きになって!もう、六年いるんだよー。凄いでしょ?」


「凄い」


「でしょ?好きな気持ちは長さじゃないから」


「そうだよね」


理沙ちゃんは、私の方を向いた。


「凛ちゃん、たくむんをこれからもよろしくね」


「でも…」


「別にいいじゃん!お天道様が許さなくたって、理沙が許すから」


「フフ、ありがとう」


「うん!でも、もし今の関係でいれなくても!別の形見つけようよ!一緒に」


「うん」


私の言葉に、理沙ちゃんは私の手を握りしめる。


「ありがとう、凛ちゃん」


「うん」


そう言って、部屋に戻ってきた。


「道、迷ってたって」


「ごめんね」


「凛さん、遅いよー」


拓夢が泣いていた。きっと、みんなで何かを話してたんだと思う。


「じゃあ、かねやん歌います」


「はい」


カラオケをしたり、楽器を弾いてるのを見たりして、あっという間に時間がやってきた。


「じゃあ、今日はお別れだな」


「また、来てね!凛ちゃん」


「うん」


「じゃあな」


「またな」


私と拓夢は、先に店を出た。拓夢は、すぐに手を繋いでくれる。



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