いってらっしゃい

私は、お味噌汁をカップにいれる時にとろろ昆布をいれる、それから鮭と卵焼きとレタスをスクエアの形のお皿にに盛り付けた。


「持ってくよ」


龍ちゃんは、さっきの話をなかった事にしてトレーにのっけた朝御飯を持っていっってくれる。私は、お茶碗にご飯をいれる。龍ちゃんがトレーを持って戻ってきた。


「ゴリラじゃないから」


お茶碗とお箸をのっけた私に龍ちゃんは、そう言った。


「わかってるから」


申し訳なさそうな顔をしてるから、つい龍ちゃんの腕を叩いてしまった。


「危ないから」


「ごめんね」


「大丈夫だけど」


そう言って、龍ちゃんは運んでくれる。私は、細い小さなグラスにお水をいれて持っていった。


「食べよう」


「うん」


『いただきます』


私と龍ちゃんは、向かい合って食べる。


「俺さ」


「うん」


「向こうで考えてみるよ」


「何を?」


「凛と二人で生きてく事とか、子供の事とか…。結婚してから、完全に一人なんてなかったから!いい機会だと思って考えてくるよ」


「わかった」


「だから、凛も!考えてよ」


「これからの事?」


「そう」


「わかった」


私は、頷いてご飯を食べる。


「やっぱ、凛の味噌汁うまいわー。ってか、俺さ!凛の料理以外食えないんだよなー。出張嫌だわ」


そう言って龍ちゃんは、美味しそうに朝ご飯を食べている。


「龍ちゃんの半分は、私のご飯で出来てるんだね」


「それって、水の話だろ?体の半分近くは、水で出来てるってやつ!」


「そう、それ」


「そうだな!俺の水は、凛のご飯だわ」


そう言って、龍ちゃんは味噌汁を飲んでいる。


「龍ちゃん、私ちゃんと考えるね」


「うん」


「考えて答え出すから」


「わかった」


龍ちゃんは、ご飯を食べ終わって『ごちそうさまでした』と言って珈琲を飲んでる。


「帰ってきたら、発表会な!」


「うん」


私も、『ごちそうさまでした』と言って珈琲を飲む。


「高級な味がするね」


「見た目だろ?」


「人間は、目で見えてる世界が全てだよ」


「確かに!二万以上するような珈琲カップで飲んだら違うよなー。大量買いしてるドリップ珈琲でも」


そう言って、龍ちゃんはニコニコ笑ってる。


「この先、どんな暮らしがしたいか考えてきて!私も考えるから」


「わかった!あっ!用意するわ」


「うん」


龍ちゃんは、お皿を下げようとする。


「いいよ!着替えてきて」


「ごめんな」


そう言って、寝室に行った。私は、お皿を片付ける。龍ちゃんがいない間に、私は凛君に会ってこよう。それから、きちんとこれから先を考えよう。お皿を下げると龍ちゃんが現れた。


「じゃあ、行くよ」


「うん」


私は、龍ちゃんを玄関まで送る。


「3日で帰れなかったら、連絡する」


「わかった!気をつけてね」


「うん!じゃあ、行ってきます」


龍ちゃんは、そう言って私をギュッーって抱き締めてからキスをしてくれた。


「いってらっしゃい、気をつけてね」


「凛も気をつけて」


キャリーバッグをコロコロとひいて、龍ちゃんは玄関を出た。バタンと扉が閉まったのを見つめていた。

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