何かあった?
龍ちゃんは、水道の蛇口をひねって水を飲んだ。
「何かあった?」
「見ちゃっただけ」
私は、龍ちゃんにめぐちゃんのSNSの話をしてしまった。
「くだらないな!」
龍ちゃんは、そう言って私を抱き締める。
「自分だけが一番偉いって思ってるのっておかしいよな?」
「うん」
「俺の会社で、独身の人いるけど!めっちゃ、頑張ってるぞ」
「うん」
「凛の従姉妹は、世界が小さいだけだろ?その友人も…」
「うん」
「馬鹿は、相手しないのが一番だよ」
「うん」
「酷いな、俺!凛の従姉妹なのに…」
「全然、いいの!私、スカッとしてるよ」
「凛」
龍ちゃんは、私の頬に手を当てる。
「龍ちゃん」
「傷ついてばっかりだな!凛も俺も…」
そう言って、ゆっくり私の唇に唇を重ねる。今は、こうされたかった。お互いの唇の感触を確かめるようにするキス。
「龍ちゃん」
唇が、そっと離されて…。また、重なりそうになった時だった。
リリリリーンー
「明日の事かも!」
龍ちゃんは、私から離れてダイニングテーブルのスマホを取る。
「ごめん、先輩だわ」
そう言って、龍ちゃんは電話をしながら寝室に消えていった。私は、唇を指でなぞっていた。やっぱり、龍ちゃんとするキスは好きだった。
ブー、ブー、ブー
私は、ダイニングテーブルで震えてるスマホを手に取った。
「もしもし」
『明日、何時でもいいよ』
「大丈夫?」
『凛、俺…。駄目なやつだ』
「どうしたの?」
『何もない』
そう言ってる拓夢の声が泣いてるようでくぐもった声をしている。
「何でもないの?そんな風には、思えないよ」
拓夢は、言いづらいようだった。
『また、明日…。家で待ってるから』
そう言って、電話が切られてしまった。さっきの女の人と何か関係があるのだろうか?
私は切れたスマホの画面を見つめていた。
「凛」
「明日の電話?」
「うん」
龍ちゃんは、浮かない顔をしていた。
「どうしたの?」
「日にち、もしかしたら延びるかも」
「そうなの?」
「うん、ごめんな」
「仕方ないよ」
私は、首を横に振った。
「延びるなら、連絡するから」
「うん」
「本当、ごめんな」
「いいの」
龍ちゃんは、私の頭を優しく撫でる。
「寝ようか?」
「準備は、出来た?」
「うん」
「歯磨きしてくる」
「俺も行く」
二人で並んで、歯磨きをするのなんてどれぐらいぶりかな?永遠にこの幸せが続くわけじゃないかもしれない。そう思ったら、泣きそうになる。それでも、私は龍ちゃんの傍にいたい。龍ちゃんと最後までいたい。
どちらかが、死ぬまで…
一緒にいたい。
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