見つけた!!
昼間なのに、木が沢山生えているから外からはよく公園内部が見えない造りになっている。
変質者でたら、一発で終わりそうな公園だった。
歩いて行くと、奥のベンチに人がいるのが見える。
あの服!!凛だ!!
目を凝らして見ると旦那さんだと思った人間から、凛は離れようとしてるように見える。大丈夫だ!旦那さんじゃない筈だ。
俺は、走って近づいた。
「凛」
その声に、男が離れた。その瞬間、凛は彼を押して俺の元に走ってきた。
「拓夢」
凛に、抱きつかれる。やっぱり、旦那さんじゃなかった。
「凛、何してんだよ」
「あっ、うん!ご飯食べに来てたの」
「お前」
俺は、ベンチにいる男の元に近づいた。
「凛さんの旦那さんですか!」
「えっ?」
どうやら、男は俺を凛の旦那だと思ってるようだった。
「僕、あんたに何か負けないから!」
「はあ?」
「あんたより、僕の方がいいに決まってるから」
「ちょ、ちょっと待ってよ」
「何言ってんだよ」
「今日は、帰るけど!絶対、あんたに何か負けない」
「おい、待てよ」
俺は、男の腕を掴んだ。
「凛さん、また絶対会ってよ」
そう言って、掴んだ手を振り払われた。
「だから、待てって」
俺の言葉を聞かずに走っていなくなってしまった。
凛は、どうしていいかわからず立ち尽くしていた。
「凛、大丈夫か?」
俺は、凛を見つめる。
凛は、ポロポロと泣き出した。
「拓夢」
「怖かったのか?」
「そうじゃないよ」
「じゃあ、何?」
「こんな所でとか嫌だし。あの子、未成年だし。なのに、好きとかわけわかんない」
「凛」
凛は、ヘナヘナとその場に崩れ落ちて、子供みたいに泣き出した。あーとかわーとか言いながら泣いてる。俺は、凛を抱き締めて背中を擦ってあげる。
「大丈夫、大丈夫だから」
凛は、俺の背中に手を回してしっかりと抱き締めてきた。
「変態だよ、私」
「何で?」
「朝、夫にお預けくらったせいで、変態過ぎるよ」
「嫌いじゃなかったんだろ?さっきの子の事」
「うん」
「それなら仕方ないんじゃないか…」
俺は、凛をさらに抱き締める。
「拓夢」
「何?」
「拓夢の家に行きたい」
その言葉に、胸がズキンと痛んだ。
「行こうか」
俺は、凛を立ち上がらせる。足や服についた砂を払ってあげた。凛の手をしっかりと握りしめて歩き出した。最初から、旦那さんがいるってわかっていたし…。消してもらいたいだけで、凛と肌を重ねた。なのに、今日凛があの子といるのを見た瞬間に勝手に俺は傷ついていた。
めちゃくちゃに凛を求めてしまいたいと思った。
だけど、今の凛を見たらそんな事したくなくなった。
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