パンケーキ【カクヨム版】
「じゃあ、食べよう」
「うん、そうだね」
一通り写真を撮って満足した凛君が、そう言った。
私は、紅茶を二つあるカップに注いだ。凛君は、パンケーキを切ってくれている。時折、手が触れてくる。それが、初々しくて懐かしくて甘酸っぱい青春時代を思い出させた。好きな子とデートして、指先が触れたドキドキ感みたいなのを思い出していた。
「お砂糖は?」
「いる」
「ミルクは?」
「いる」
そう言われて、私と同じミルクティーを作って渡した。
「はい、パンケーキ」
「ありがとう!いただきます」
私は、甘そうなパンケーキを口一杯に頬張った。甘いけど、美味しい。基本的に和菓子が好きな私は、あまり生クリームなどは食べなかった。でも、ここのお店の生クリームは思った程甘くない。
「凛さん、ついてる」
そう言って、唇の端を拭われた。
「ごめんね、ティッシュ」
鞄からティッシュを取り出す前に、凛君はその生クリームをペロッと舐めた。
「凛君」
「お腹壊さないから大丈夫だよ」
「そんな問題じゃ」
それをした途端だった。凛君は、男の子から男に変わった。私の腰に左手を急に回してきたのだ。
「なに?」
「これぐらいいいでしょ?」
ズルイぐらい可愛い笑顔を浮かべてくる。
私は、紅茶を飲む。どうしよう…。無理だってちゃんと言わなくちゃ…。
傷つけないように、断らなくちゃ…。
考えながら、パンケーキが食べ終わって紅茶が飲み終わった。
「行きたい所あるから、行こう」
そう言われて、急かされるように店を出て行く。お金を払おうとしたのに、凛君に払われてしまった。考えろ、何て言うのが正しいんだ!考えろ、私。
また、手を繋がれて引っ張られていく。流されるな、考えろ!私は、とにかく一生懸命考えていた。
「ついたよ」
そう言われてやってきたのは、公園だった。まだ、高校生だ!公園が好きなんだ。
「そこ座ろう」
ベンチに並んで座った瞬間、腰を引き寄せてきた。
「凛君、何?」
「ここね、僕の学校で有名な場所なんだよ」
「有名って何?」
「キスとエッチとか」
「いやいや!外だし」
「外だよ」
「凛君、私と友達になるんだよね?友達は………!!」
突然キスをされた。
「ちょっと待って」
下手くそなキスだから、多分初めてだ。
「待てない」
そう言われてさらに引き寄せられる。
「ちょっと待って」
濃厚なキスをしてくる。どうしようもない。それと、朝のお預けのせいでヤバイのを感じている。
「やめて」
「気持ちいいの?凛さん」
何も聞いてくれなくて、Tシャツの下から手を入れられる。
「駄目だから!ちょっと話を聞いて」
制止するのも聞いてくれなくて、ゆっくり胸まで手がやってきて、それをどうにか止めようとするのに…。
また、キスをされてしまった。どうしよう、ヤバイ。
凛君を傷つけられないし、下手に動くとこれ以上先に進まれそうで、動けなくて…。胸の手を止めてるせいで、動けない。このまま、こんな所でやりたくない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます