しませんか?

私は、店内を見渡していた。確かに、至るところに天使と悪魔を思わせるデザインが散りばめられている。これは、拓夢と来るのもありかもしれない。


「……しませんか?」


全然、凛君の話を聞いていなかったせいで、最初の言葉が聞き取れなかった。


「ごめん!何を?」


「僕と初めてをしませんか?」


「初めてって?」


「だから…」


「お待たせしました」


店員さんが、オムライスセットとハンバーグセットを持ってきた。


「ありがとう」


「ごゆっくりどうぞ」


「た、食べよう!冷めちゃう前に…」


「はい」


『いただきます』


大人は、気づかないフリをするのだ。拓夢となら、まだしも。こんな16歳の少年となんて犯罪ではないか…


「オムライス食べる?」


「はい」


「じゃあ、サラダ食べた器貸して」


「はい」


小さなサラダを盛ってる器の中のサラダを凛君は食べて渡してくれる。私は、それにオムライスを入れて渡してあげる。天使をイメージしたオムライスは、白い。白身を先に焼いているのだろうか?


「ハンバーグあげる」


そう言って、お箸でハンバーグを割ってお皿に置くと思ったのに…。


「口開けて」


「えっ?」


「早く、あーん」


仕方ないから、口を開けた。


「美味しい?」


「うん」


肉汁が口の中に広がって、凄く美味しい。オムライスもパスタも凄く美味しい。この店の外観とは、全く比べ物にならないぐらいに美味しかった。


「ご馳走さまでした」


気づいたら、全部ペロリと平らげていた。


「パンケーキ、半分こしない?」


「いいよ」


凛君の言葉に頷いていた。

店員さんが、お皿を下げる時に凛君はパンケーキと紅茶を頼んでいた。四人席だったからか、何故か凛君は隣に座ってきた。


「映え写真とらなきゃね」


そう言って、笑ってる。


「お待たせしました」


店員さんは、なにも気にせずにパンケーキと紅茶を持ってきた。待て待て!食事をガッツリしたのに、これを食べるのか?三段のフワフワのパンケーキに、甘い生クリームとストロベリーとチョコレートのソース、飾り付けられたイチゴ。美味しそうだけど、見るからに甘そうだ。

凛君は、気にせずパシャパシャ写真を撮っていた。


「これ、持って」


「えっ?」


「いいから、これ」


そう言われて、皿を持てと言われた。私の添えた手ごと写真をパシャリと撮っていた。


「何するの?」


「SNSにアップするの」


「あー、匂わせとかってやつ?」


「よく知ってるね」


「うん!何ヵ月か前に、ニュースで見たから」


「凛さん、めっちゃ手綺麗だから!入ってると綺麗な彼女って想像されると思うんだ」


そう言って、凛君はニコニコしながらSNSに投稿していた。まぁ、彼が楽しいならいいかな…。


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