組曲『惑星』以上だぜ!
ジュン
第1話
「高校生活最後の夏休みだね」
「そうだな」
「高木くんはどうやって過ごすの?」
「どうやって……夏期講習だよな」
「そうだよね」
「ああ」
「あーあ、夏だし花火大会とか行きたいな」
「行けばいいじゃん」
「ははは。まあ、そうなんだけど」
「お前たしか吹奏楽部だったよな」
「そうだよ」
「文化祭で演奏するんだろ?」
「うん」
「なに弾くの?」
「ホルストの組曲『惑星』って知ってる?」
「『惑星』……聴いたことあるかも」
「でも、なんか……」
「どうしたんだよ?」
「馬力が出なくて」
「そうか……ちょっと待ってろよ……」
「なに?」
「お前にこれやるよ」
「地球儀……これたしか高木くんが塾の成績優秀賞で貰ったやつ」
「そう。お前にやるよ」
「でも、どうして?」
「馬力が出ないんだろ」
「そうだけど……」
「組曲『惑星』ってたしか、地球は無かったよな?」
「あ、うん」
「馬力が出なくなったら、この地球儀見みろよ」
「…………」
「ホルストの組曲『惑星』もいいけどさ、地球のどこかにそれを演奏してるお前を想ってるヤツがいるってこと」
組曲『惑星』以上だぜ! ジュン @mizukubo
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