〈Eternity Fantasia〉~配信者、神ゲーをエンジョイしてたらいつの間にか魔王と呼ばれてた件~

鬼怒藍落

完全閑話・時期ネタ倉庫 本編後にお読みください

エイプリールフール番外編・夏だ海だ筋肉褌エプロンだ!

[あとがき]

突発的にやりたくなったのでやりますエイプリルフールだし……とⅠ時間半で書けたなにか。

注:頭空っぽにして読んでください。

なんでも許せる人向けです。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 そう、これは――あり得たかも知れない夏の話だ。


 高校二年の夏。

 それはきっと充実した日になるって思ってた。

 毎日ゴロゴロしてゲーム三昧、時折配信のそんな生活が待ってると思ってたんだ。

 まぁでもたまには外に出た方がいいので確かに何処かにいくのもいいだろう……それこそ夏の海に行ったり……とか。

 俺だって男だ。

 いくらゲーム廃人と言えども多少なり他の何かにも興味がある。

 だからゲームといえど海に来れると聞いて少し楽しみにしていた……でも、違ったんだ……違ったんだよ。


「おうおう、同志! どうしてそんなにグロッキーなんだ?」


 目の前に広がるのは……言い表したくない何か。

 褌を装備しその上にエプロンを纏った一人のドMがそこにいた。

 今、俺はこのドMとあと日陰で休むクロとの三人でエタニティ大陸の南にある海にいる。トロピカルな風景の筈なのにそこに色は一切なく、あるのは、なんか無駄に仕上がった筋肉のみ……。

 なんで……何が悲しくて男三人で海に行かないといけないんだろうか?

 そんな事を切に思いながら、俺は今日の朝を思い出した。


――――――

――――

――


「……夏イベ? エタファンのか?」

「うん、何かあるんだって」


 大陸クエストを終わらせて一日が経過し、朝起こしに来ていた雪がそんな事を教えてくれた。夏イベ、つまりは第二陣が始まっての初イベントという事になる。


「えっと内容は?」

「特殊マップで一日だけイベント開催、海らしいよ」

「海か、報酬とかは?」

「まだ知らない、今日の昼に詳細出るって」


 つまりはお楽しみって事か、どんな内容か分からないけど初イベントには参加したい。報酬も気になるし、何よりまだまだエタファンで遊びたいし。


「雪は参加するのか?」

「私は実家の祭りの準備で忙しいから無理、大和は多分参加するでしょ?」

「了解、そういえばこの時期お前忙しいもんな」

「うんそゆこと、楽しんできてね」


 そんなわけで夏イベントに参加を決めた俺は、フレンドであるクロとラスロ……そしてゲーム内で会えてないレンに連絡をいれゲームに入った所まではまではよかった……問題はそこからだ。

 ログインした瞬間に何か新アイテムが貰えたのだ。

 開いてみればそれは水着であり、運営からの通知を見てみた限り今回のイベントが水着で参加するイベントだと言うことを知った。

 それで思ったのは他のプレイヤーの水着が見れるかも……という事を期待した。

 そして、何年か行ってなかった海に思いを馳せ……集合場所に着いたらそこにいたのが……。


「同志よ、体調が悪いなら木陰で休むか?」

「いや、大丈夫……これ俺の問題だからさ」


 この褌エプロンって訳だったんだ。

 いやね、目に毒とは言えラスロのアバターはイケメンであり、そこまでの破壊力は無い。というか、それが当たり前の如く似合っていて溶け込んではいるが、その気持ちの問題というかさ……男の純情的なアレがあるんだよ。

 というかさ……この海にいる人は今多い。

 最低限女子はいるのだが……問題として男女比が7:3ぐらいなのだ。

 しかもその男達の中にバレーボールをしている人がいるんだけどさ、何故か一人でやってるんだよ。

 え、なんでそれで成立してるって? あまりにも早いせいでボールが飛んでいる間に反対側のコートに行くからである。


「なんだよ……あれ」

「お、瞬神ではないか! 彼奴はいつもあんなんだぞ?」

「こえぇ……」


 まだ話した事のないプレイヤー。

 それも一方的にこっちが見てるだけだが……第一印象が割とカオス。

 しかも満足したのか終わった後やっと顔が見えたんだけどね? ……それが忍者の覆面なんだよ。しかもさ、下はブーメラン。

 もうダメだよ、俺この先この人に会って話すことになったら印象ブーメラン覆面忍者だよ。


「みなさーん、美少女AIティフレトちゃん参上だよ! 水着で海に来たのなら楽しみたいよねー! だから、とっておきの遊びを用意したよー!」


 初めて見るNPC……いや、本人曰くAIの滅茶苦茶可愛いピンク髪の水着美少女。

 急にあらわれたステージの上で跳びはねるそれを見て、失った何かを俺は取り戻した気がする。いや、眼福というか……本当に救われた様な気持ちに襲われたのだ。

 というか割と近いから分かるんだが、顔が良すぎてやばい。

 ……とか思ってたらステージの後ろが爆発した。

 爆薬でも仕掛けたのかなぁとか思ったんだが、偶然らしくちょっとビビったティファレトの姿が見える。


「……むぅ、今日も爆死したのだな瞬神」

「何言ってんの?」


 出来るだけ横を見ないようにしながらラスロと話すが、まるで意味が分からない。

 今日もって何だよ、そもそも爆死するな?


「なんかハプニングあったけど、今回のイベントは男性プレイヤー用だよ! 女性プレイヤーはその分海の家で無料でご飯が食べれるから安心してねー! ではでは説明だー!  やっぱり海と言ったらスポーツ、しかも男だらけってことはー? そう筋肉! 迫りくるマッチョモンスターを倒して、マッスルポイントを集めようぜ!」


 どうしよう、何も分からない。

 俺がおかしいのかな? って思うんだが、皆困惑しているというか……なんというか、皆目が死んでる。

 ティファレトが可愛いからなんとかなってるが……本当に色々酷い。

 何が酷いって、マッチョモンスターという言葉が出た瞬間にカンガルーが出てきたのが特に。もうなんだろうなこの空間、嘘であって欲しいがいくら顔を抓ってもラスロをビンタしても現実で――。


「同志!?」

「あ、ごめん」

「いや、別にいいぞ? だがステが足りん」

「そっかぁ……」


 もう、なんかそれでいいわ。

 とか思いながらも、イベントステージに移動すればそこにはマッチョなモンスターが溢れていた。筋骨隆々なゴブリンに、妙にイケメンな青色のマッチョスライム――挙げ句の果てには二足歩行するグリフォンっぽい奴。


「え、今からこれと戦うのか?」

「そうだな、頑張るぞ同志よ!」

「――クロは?」

「くだらんって言って海の家に向かったな……」

「俺も誘えよ……」

「それは酷な話ではないか?」

「なんでだよ……俺の精神がつらいよ」


 女子の水着is何処?

 いや、本当にどこなの? 

 え……助けて――だれかこの地獄から解放してくれない?


『主様、泣いてるのか?』

「まが……つ?」

『そうだぞ、主様の禍津童子だ……どうしたんだ主様?』

「お前、水着……か?」


 禍津童子、それは俺の相棒である御霊の少女。

 灰色の髪に蒼の瞳、体中には文字のような紅い紋が刻まれている彼女はどういう訳か水着だった。


『どうだ似合っているか? さっきピンク髪の少女がくれたのだ!』

「あぁ、ああ! ――本当に似合ってる可愛いぞ禍津!」


 どうしてだろうか、嬉しいのに可愛いのに。

 なんで……しょっぱいんだよ、海水? いや、涙かこれ。

 

『そ、そうか――主様が褒めるとは珍しいな。妾も嬉しいぞ』

「癒やしってさ、身近にあるんだな。そうか、これが――いや言葉にする必要はないか」

『主様が……壊れた?』


 何か言われてる気がするが、それは知らない。

 もうこんな事になったのなら何より相棒の可愛さを知れたんだ――それ以外の毒は全て殺そう。



「禍津、このイベントを――この肌色の地獄を終わらせよう」

『主様……目が死んでおるぞ? いつもの主様に戻っとくれ』

「なに心配するな俺達は無敵だ。全てのマッチョを滅ぼそうか」

『話が噛み合わないのだ……まぁ、妾は主様に付き合うだけだからな』


 そういうわけで禍津を装備して俺の体に紋様が刻まれた。

 減っていく体力、上がっていくステータス。

 皆がいま戦ってる中で六十秒ほどかけてから深呼吸した俺は、インベントリから刀を装備した。


「全てのマッチョモンスターを根絶やしにするんだ」


 そして、駆けた。

 ――上がったステータスを頼りに走り出し、クリティカルだけを狙って確実にマッチョを倒していく。


「どうしたどうしたマッチョ共! 俺はココだぞ? ――敵はここだ。体力は1、小石で死ぬ程度の奴にお前等の筋肉は負けるのか?」


 もうテンションがバグって何を言ってるか分からないが、なんかそれっぽいことを言いながら俺は順調にマッスルポイントを溜めていた。


「筋速斬――そんなものか? ――貴様等が鍛えた己の肉はその程度のなのか!? 真の筋肉を名乗るのならば俺の刀ぐらい胸筋で止めて見せろ!」

『まじで主様バグったのだ』

「同志が張り切ってるな……私も頑張らなければ、行くぞアロンダイトDXよ!」


 走る俺にドMの筋肉、元はといえばこいつが悪い気がしてきたけど斬っても喜ぶだけなので無視。

 タンクに守って貰いながらも俺は突貫し、百を超えるマッチョを倒した時だった。


【レイドマッチョ、マチョタウロスが現れました。 さぁ、筋肉を焼き付けなさい?】


[バルクゥゥゥ!]


 現れたのはポージングしながら叫ぶミノタウロス。普段の敵の何十倍も大きいそれは、圧倒的で完璧な筋肉を持ちとても大きかった。

 もう、なにもかもおかしかった。でも、そんな事気にしてられない。

 敵は斬るマッチョは倒す……全部やるのが俺の役目だから。


「旅人達よ、新たなマッチョが現れたぞ? さぁ、狩ろうじゃないか! クリークだ。夏だから水着が見れると思った俺の――いや、俺達の慟哭をあの牛野郎に見せてやれ!」 

「「「「ウォォッォォォォ!」」」」

[[[[ナイス、バルクゥゥゥ!]]]]

「うむ、仕上がってるな!」


 雄叫びを上げる男達、叫び声を上げるマチョタウロス達マッチョモンスター……そして褒めるラスロ。

 あぁもうさ、何も怖くない。

 だってこんなにもマッチョを恨む同志達が沢山いるのだから!

 ――そして真夏の海にマッチョが散り、残った物は……。


【貢献度一位報酬、限定スキン・パーフェクトマッスルスキンを入手しましたw】


 もうマッチョはこりごりだ。

 ――雪とか誘って海行こうかな。


[まえがき]

 出す位置間違えたので再投稿、後ほど上に上げます。

 色々ごめんなさい、でもね後悔はないないったらない。応援コメント待ってます☆

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