時をかける一色さん。と、その食料庫の俺。

せんと

プロローグ【胸を揉む。そして契約完了】

「――これであなたは私の所有物よ」


 とある昼休みの体育用具室。

 学校の男子生徒100人に聞いたら全員が即美人だと答えるであろう女子の両胸を、俺は揉まされている。言葉通りの意味だ。


 柔らかな両掌りょうてのひらの感触に気が行きがちだが、腰まで長くその黒に紫が混ざったような珍しい髪色は、これだけの至近距離となれば薄暗い室内でもハッキリとわかる。

 加えてジメジメして埃っぽいはずの場所が、彼女がいるだけで空気そのものが浄化されているようにも思えた。

 妖艶な赤銅色しゃくどういろの瞳で宣言する彼女の唇はなまめかしいほど色っぽく、実際サキュバスがいたらこんな雰囲気なのか? とも想像させる。


 面倒ごとに巻き込まれたはずが、何故こんなラッキースケベ展開に発展したのか――それは今から少しだけ前にさかのぼる。

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