ライフ・オブ・ザ・オーガ
calbee
第0章 エピローグ
『何故俺はここにいるんだろうか。』
歓声が鳴りやまないコロセウムのステージ上で、ぼんやりとそんなことを思ってしまった。
「「「負けるなーー!!ガンバレーーーー!!!」」」
大勢の歓声を一身に受ける目の前の女は勝ちを確信したように笑顔で周りに手を振る。
「「「早く死ねーー!!とっととやられちまえーーーー!!!」」」
対して罵声や怒号が浴びせられ続けている蒼い人型の化け物、それが俺たちオーガだ。産まれてからずっとコロセウムにいた俺にとってはもう見慣れた光景でもある。
小さい頃から嫌という程見て、何度も恨み、妬み、憎み、羨み・・・・。
いつの間にか失われた感情の代わりに得た経験値。
どうせ勝つことはおろか、勝ってはならない試合に何度か本気で相手を殺そうとも思った。けれどその度に近くにいる人間に止められた、全身を串刺しにされて。
だからもう、戦うことに何の意義も見いだせない。
「さ!何処からでもかかってきなさい!」
目の前の女の言葉にただ腕を振り上げて応えるだけ。そのまま振り下ろし、簡単に避ける女の攻撃を体に受ける。
ミチミチッと皮膚が裂ける音を聞きながら適当な悲鳴を上げて倒れる。
その姿を満足そうに見降ろし、止めに近い攻撃を女から受けて、視界は真っ黒になる。これがここにいる俺の仕事。
何の為に産まれ、何の為に成長し、何の為に生きるのかを、俺はまだ知らない。
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