第27話 織田信長の熟慮

2人はわざと織田家に捕まって、

人間とは思え無い今川家に天下を取らせれば、

日本の夜明けは永遠に来ないと思っていた。

事実、その遠望深慮の大原雪斎は

不老長寿であるだけであって、

不老不死では無いうちに倒す必要があった。


今でもまだ不老不死になっていないのには、

何か重大な秘密があると真田は考えていた。

西進する本当の目的は、京の都を掌握するだけで無く、

古きに渡る多くの古の術が書かれた書物が

本来の目的では無いかと思うようになっていた。


同時に義元が京かぶれになった時期も考えていた。

男でも化粧をする。化粧をすれば、余程近くに行かない限り

年齢は分からない。全ては全ての書がある京に行くのは、

不老不死になる為だと話を繋げていった。


蒼紫と桜は西に行けば行くほど、

不思議な気持ちになっていった。

これからもまだまだ繁栄していきそうな程、

水路や町が活気に満ちていた

からである。

織田信長の噂は大うつけとしか聞いたことが無かったが、

仮にそれが仮の姿であって、織田信長の兄弟は大人数いた。

信秀が女好きであった為、

仮に信秀が死んで、信長が全てを統率するつもりで

動いているのなら?

と考えると真田の顏は真剣になっていった。


まずは小関所を抜け、北に進路を取り、

末森城で暫く休息を入れる事になった。

真田は織田信長が計算の上で動いているような

気がしてならなくなっていた。

真田と桜は織田の兵士に連れられて末森城で

悪い待遇は受けず、食も用意されていた。


裏で野武士の棟梁である蜂須賀正勝の動きが

真田には見えていた。


織田信長は真田と妹と称する桜という忍びが何故、

圧倒的有利でもあり、待遇も良いはずの真田蒼柴が、

今川家を去ってまで我らの元に来た理由を、

1人で思案していた。


仮にこれが策だとすれば安易すぎる。

真田は最前線で武功を上げてきた人物だと

知っていた信長は不思議で仕方がなかった。

その為、休憩と称して末森城で、

信長の命令を兵士たちは待っていた。


しかし、信長の智慧をもってしても、

回答まで導くような回答は出なかった為、

信長のいる清州城まで来させるよう伝えさせた。

仮に重要な問題を、今川家が抱えているのであれば、

早く知る必要があると信長は考えた。


信長は英断が下せる上に、即断即決が可能な人物であった。

荒っぽさが目立っていたのは、性格上、

英断を下せるが故でもあった。


桜は今まで一緒にいた仲間たちに見放されたが、

最後の別れも告げずに真田についてきた。

その理由は、彼は勇気ある者であり、

いざという時は、我が身を盾にしてでも守ってくれる

人物だった為でもあった。

実際、今川家で窮地に立たされた時、

PCの仲間たちは距離を置いて様子を見ていた。

それは忍びが故に調べる事には

特化していた故でもあった。

彼らの本音は距離を置いて様子を見ようということであった。つまりは手助けは様子を見ようと言う事であり、

その程度の勇気では、

とても今川家の重鎮たちを相手に成す術も無いに等しかった。


真田は桜と話をして、今川の同盟国である武田、

北条方面に行くには危険が多すぎる為、

必ず戦になる織田家に向かった。

それは信長の性格上、

降伏はしない男だと見込んだからだった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る