5潜入


 予告された企業が公開に踏み切ったのだ。


 要約すると我々は不正は行っていない。

 適切に企業理念に則り運営している。

 とのことだ。

「不正していると都合よく切り取って数字出さないのよね。

 流石古狸と言うべきか」


 十数年前から疑惑はあったのだ。

 認めるなんて難しいだろう。


「じゃ、彼女の出番だな」

「そうね」

 彼女は内部関係者になって潜入してもらっている。

 中途採用者になってもらうのだが、

 彼女はルックスもよく学歴もある。


 資格も実際に持っているため面接に通らないことがない。

 建物には監視カメラ、赤外線センサー、

 金庫には重量センサーが入っているようだ。


「基本的にガードが固いわ。

 どこかにスキがあるはず。

 最新システムを入れているけれど重量センサーだけはまだ精度は甘いわ。

 普通紙の誤差は出ないけれど、

 トレーシングペーパーのような……それよりも薄い紙なら感知できないわね」


「その他のスキはありそうかしら」


「防犯カメラならいじれるわ。

 赤外線センサーなら機械中央室でコントロールしている。

 少しずつ焦点をずらして、隙間を作っておくことは可能だわ。

 どれもミリ単位の誤差だし、慎重に行わないとすべて水の泡になるわ。

 注意して行動して」



「りょうかい。それだけ移動できれば何とか潜入できるわよ」

「そう。よかった。

 じゃあ指定くれたルートで穴をあけておくから確認よろしく」

「たすかるわ。よろしくね」


 依頼した金髪碧眼の女性は黒染めにして、

 黒いコンタクトレンズをつけ、

 長らく潜入捜査を行ってくれている。


 

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