第一章3 『奇妙な老人』
日差しは弱まり、時刻は夕方に差し掛かっていた。早希と大は、それぞれの思惑から互いに目を合わせられずに、気まずい時間が過ぎていく。このまま何もなかったことになる、雰囲気じゃないよね。なんで男はすぐに物事の白黒を付けたがるの。もう、やだ、この空気。これ以上耐えられない、と先に切り出したのは早希だった。
「話って?」
「もう伝えているだろ」大は早希を見つめ、言った。
「うん」
だよね、あの話、だよね。分かってるって、なんであたし訊いちゃったの……。活発で明るく、ボーイッシュな見た目の可愛さも相まって、早希は中学時代から人気があった。告白されることも無論、何度もあった。父親が刑事だったということも少なからず関係してか、誰に対してもどこか疑ってしまう自分がいて、いつも付き合うことには発展せず、断ってしまう。ただ、疑った際に感じる勘は、往々にして的中してきたことも事実だ。スポーツ万能、見た目も爽やかで申し分なく、誰にも優しく接する。彼氏としての条件は充分に満たしているはずなのに、大に対しても、なぜかいつもの勘が働いてしまっていた。
「告白の返事。旅行前にくれるって言ったじゃないか。返事がなく、一緒に来たってことは、オーケーってことでいいんだよな?」
大は、俯いて何も言わない早希の肩を、興奮気味に両手で掴む。
「何が不満なんだ。単に俺がタイプじゃないのか。でなければ、何だよ。もし嫌な部分があるなら言ってほしい。絶対に直す自信があるから」
こういう決めつける部分も気になるのだと、早希は素直に言えずに言葉を濁す。
「何かっていうか。正直、大のことはいいなって思っているよ。でも少しね、何かひっかかる部分があるというか」
「前も言ってたよな、それ。だからなんだよ、そのひっかかる部分っていうのは。俺、かなり真剣に早希のこと――」
「ちょっと待って」早希は大の顔に手の平を向け、話を遮ると、後ろを見た。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
和真を先頭に、みさえ、晴斗、共子が山道を歩いている。
和真が木や道の様子を確認するように見ると、「あれ、こんなとこ、通ってきたっけな」と首を傾げた。
「え、嘘、迷ったの? やだ、早く帰りたい」みさえが口を尖らせる。
「大丈夫、迷ってなんかねえよ。確か、こっちだったはず」
道を間違えたなど、かっこ悪いところは見せたくはない。それに、何度もこの辺りは来ているのだ。迷うわけなどない。と自身に言い聞かせるように和真は強引に生い茂る草木の中を進んでいくと、少しずつ木がなくなっていき、開けた場所へと出る。森に現れた空間。木の生えている様子から人為的に切り開かれたようにも見える。
「お、なんだあれ」和真が目を凝らすと、丸い敷地内の前方には古びた木造の一軒の家が建っていた。
「こんなところに誰か住んでるんですかね」晴斗が和真の背中から、ひょいと首を出して言った。
「流石に住んでいないだろ、電気もないこんな山奥に」と和真は言うと、道に迷ったついでだと軽くぽんと手を叩き、「きっと廃屋だろ。そうだ、ちょっと中、見てこうぜ」と皆に提案する。
「え、キモイし、疲れたし。早く帰りたい」みさえは頬を膨らませ、露骨な拒絶反応を示した。
「ちょっと覗くだけだって。なっ」和真が片目を瞑る。
「確かに、お化け屋敷みたいで、面白そうじゃん」
この環境を利用して、和真と晴斗は不安を煽り、恋愛感情を抱きやすくする吊り橋効果を狙っているのは明白だった。
嫌がるみさえを晴斗が引っ張っていこうとしていると、共子が後ろを振り返り、「ねぇ、待って。早希たちがいない」と皆に声をかけた。
二十四年間の人生で、和真に彼女と呼べる存在はいたことがない。だからこそというべきだろうか、人の色恋沙汰へのアンテナは妙に敏感だった。大の早希に対する気持ちを悟っていた和真は、「その辺にいるだろ、ほっといてやれって。いいから、行こうぜ」と共子に言う。
「でも……」
共子の心配をよそに、和真は古びた木造の一軒家に向かい、進んでいく。みさえの手を取り、晴斗が後を追った。後ろ髪を引かれつつも、村を襲った犯人のことが頭を過った共子は、一人でいるのが不安だと、遅れて歩き始める。
昭和初期に建てられたであろう家の外見は、古くはあるものの、手入れはされているようで、朽ちてはいなかった。
廃屋にしては綺麗すぎないかな、と思った共子が家を眺めていた和真に訊くと、「そうか? 人が住んでなくても、こんなもんだろ」と和真は気にも留めない様子で返した。
和真は入り口らしき引き戸が少し開いていることに気が付き、手をかけて、そうっと引いていった。部屋の中に間接的な暖色の光が差し込んでいく。外観と同じく、家の中の造りも古いものの、荒れてはいなかった。入り口からは土間が広がり、奥の左側に居間が見える。近代的な建物にしか触れてこなかった大学生たちは、ログハウスとはまた違った雰囲気の木の建造物に不思議な懐かしさを感じた。
「おお、なんかレトロでいいじゃん」晴斗は、さながら遊園地のアトラクションを楽しむように部屋を眺めた。
「気味悪いよ。はい、もう見ました。もう見たからいいじゃん、ね、帰ろうよう」みさえが晴斗の袖を引っ張る。
怖いものがめっぽう苦手で小屋のムードを楽しむどころか、一人不安がっていたみさえの肩に、背後から手が置かれると、みさえは、きゃっ、と声を出して飛び上がった。すぐに犯人が和真だと分かり、機嫌を損ねたみさえが和真をぽかぽかと叩く。
「もう、ほんと最低。あたし、帰る」
「わりぃ、わりぃ。冗談だって。そんな怖がることはないだろ。ま、雰囲気はあるが、なんもなさそうだしな、もう少しだけ見たら」と和真は言いかけたところで、一人、奥へと進んでいってしまう。あれは……、ほんの軽い気持ちで入っただけなのに、これは厄介なことになったかもしれない、と和真は思った。
「和真さん、どうしたんすか」
和真は土間の奥で立ち止まると、何かを見つめている。
「もう、なに? これ以上、ふざけるなら、一人でも帰るから」とみさえが怒ってみせるが、和真は答えない。
「和真、さん?」と晴斗がもう一度、訊ねたところで、眉を八の字にした和真が、皆に顔を向けた。
「マジか。どうする、これ?」
和真が体を避けると、更に奥には薄暗くて見えづらいが、人が仰向けで倒れているようだった。
「え、それ、人、っすよね」晴斗は目を丸くする。
「人? 嘘でしょ。やだやだ。もう見なかったことにして早く出よ」みさえが晴斗を盾にするように、後ろに隠れた。
「さすがに放っておくわけにはいかないだろ」と言う和真も、内心怖がりつつ、またかっこよく見られたいという悪い癖が出て、倒れている人物へと近づいていく。近くに行くにつれ、長い白髪から老人だということが推測された。獣の皮で作られたであろう上着はマタギを連想させ、背丈や服から露出する、しわが刻まれたごつい手足の様子からは、男性であることが分かった。
和真は老人の前で片膝をつくと、体を軽く揺さぶってみる。
「大丈夫か、おいっ。生きてるか」
何度か声をかけてみる。老人の起きる気配はない。
「もしかして、死んでるんすか」晴斗は距離を保ったまま、和真に訊いた。これは死んでるな……、面倒なことになった、と和真が首を縦に振ろうとした時に、老人から唸り声が聞こえ、皆、思わず声を上げた。言わずもがな、一番驚いたのは和真だった。皆の手前我慢したが、心の中では絶叫していた。
「驚かせんなよ。大丈夫かよ、おい。じいさん」和真は老人の肩を揺すった。
和真の掛け声で老人は、はっ、と短い呼吸をして目を覚ます。咳き込みながら周りを見回して、上半身を起こしていく。大学生が目に入ると、垂れた髪を整えることもなく、大きい目玉を鋭く動かして睨みつけた。
「生きてんだな、じいさん。どこか悪いのか?」和真がよろよろとしている老人の体を支えようと手を差し伸べた途端、老人は悲鳴に近い奇声を発して後ずさった。その様子に驚き、学生たちは訝しげに老人を見る。
「大丈夫だよ、何もしないから落ち着けよ。あんたが倒れてたから、声をかけただけだ。問題ないなら、すぐ出て行く。体は大丈夫なんだな?」和真は老人にも聞こえるようにと、大きめの声を出して訊ねた。
「さ、さわ、わ……」老人は挙動不審に何かを発しようとしているが、言葉になっていないだけでなく、非常に小さく聞き取りづらい。
和真は耳を傾け、「なんて言った? 何か必要か、どこか痛むのか?」と、また老人に手を差し伸べると、「さ、さ、触るな!」と老人は声を荒げて、和真を拒絶する。和真はいきなり発せられた声の大きさに驚き、飛び跳上がるように立ち上がった。
「なんだよっ。急にでかい声、出すなよ」
老人は耳を貸さず、「……あ、あ、あいつが。おっかぁに言われたんだ。だ、だめなんだ。さ、さわ、触ったら。そ、そうだ。だ、誰にも、だ、だめだ」とぶつぶつと言い始める。老人の薄気味悪さは、先ほどまで、おしゃれとさえ感じていた部屋の雰囲気を一転させ、気味悪くすら感じさせた。
「和真さん、やばいですって、その人。早く出ましょう」晴斗が促した。もう部屋の中を探索してみたいという気持ちなどは、とうに失せ、和真も晴斗の意見に賛成してうなずく。
「ああ、だな。悪かったな、じいさん。大丈夫そうだから、行くよ。邪魔したな」
「さ、さ、触るんじゃあ、な、ない」と和真が触れようとはしていなかったにも関わらず、老人は叫んだ。
「は、触る? 何言ってんだ、じいさん。こっちは親切心で助けてやろうと思ったのによ。なんなんだよ、その態度は。変な奴だな」と和真は顔をしかめた。
老人は和真の言う事など気にも留めない。自身の手を見つめると、がたがたと震え始めた。
「こ、このて、手は。あ、あいつが。わ、わ、わしの、て、手に触れたのか? ど、どうなんだ!」老人は目も合わさずに語気を強めていく。
見た目の怪しさや意味不明の言葉から、もうこれ以上関わるのはよそう、と和真も頭では理解していた。ただ、老人が一方的に言い放ってくる態度には、怒りがふつふつと湧いてくる。
「はぁ? だから、なんだよ触るって。触ってなんかねぇよ。誰がてめぇみたいなじじいを好き好んで触るかよ。うっせぇじいさんだな」
「ちょっと、やめなさいよ。きっと混乱しているのよ」共子が落ち着いた口調で和真を宥めた。
老人はよろよろと立ち上がりながら、「て、て、手だ。わ、わしの、て、手に触れるな。絶対にだ! あ、あいつが、あ、あれが来てしまう。呪われたく、な、なければ、わ、わしに触らせるんじゃあない。で、出ていけ。で、で、出ていけ!」と和真に向って喚いた。
呪い? 老人の発言に共子が引っかかりを感じる。
恩を仇で返すとはこのことだと、喚きたてる老人に和真の怒りは収まらない。
「お、おまえら。手が。触るな。早く、早くだ。で、出ろ!」
「ほんと、イカれたじじいだな。黙って聞いてりゃ、わけ分かんねぇことばっかり言いやがって。ふざけんなよ、こら!」老人に対して暴力などいけない、などという自制心すら吹き飛び、気がつけば和真は老人を殴りかかろうとしていた。それを見た晴斗が慌てて和真を後ろから押さえる。
「単なるやばい奴っすよ。関わんないでおきましょう。ね、和真さん」
「もう。いいから、帰ろ」
晴斗とみさえの説得に、息を荒げたまま、和真は振り上げた拳を下ろした。
「くそ。とんだ時間のむだだったな」
「ふ、触れたら、だめだ。わ、わ、わしが触れたらだめなんだ、また、の、呪いが。は、早く、早く出ていけ!」老人は喚き続ける。
「呪いだぁ? マジで意味わかんねぇ。おめぇなんかに触らせねぇし、言われなくても、こんなとこ出てくよ!」と額に青筋を立てて怒鳴る和真。まぁまぁ、と晴斗に鎮められ、渋々と老人に背を向けた。
「ふ、触れるな! で、で、で、出ていけ。早く、で、出ていけぇ!」
こっちは、お望み通り、出て行こうとしているのによ。でかい声で喚きやがって。キャニオニングで楽しんだ一日が一瞬で台無しだ。いいところも見せれず、悪い印象すら、皆に与えただろうが。どう責任取ってくれんだ、このじじい。触るな、だ? そんなに触られたくないなら……。和真の我慢の限度が越えた。他の学生たちが出口へと向かう中、和真は一人立ち止まった。後ろを振り返ったかと思うと、晴斗が止める間もなく老人に迫っていく。老人の右手を掴み、自身の左腕に触らせた。
「あーあ、触っちゃったな、じいさん。これで、何だ? どうなるっていうんだよ、あ?」和真はニンマリしながら、老人を煽った。
「ちょっと、止めなさいよ」共子が割って入る。
「あれ、じいさん、なんか様子がおかしくないすか」と晴斗が言う通り、あれほど喚いていた老人は、和真が触らせた瞬間から口を閉じていた。額には大量の汗をかき、視線が定まっていない。わなわなと身を震わせている。
「や、奴が来る、も、もう、お、お、終わり、だ……」老人はかぼそい声で言うと、和真の手を振りほどき、皆に背を見せて、とぼとぼと奥へと歩き出した。
「和真さん、マジでふざけすぎですって」と晴斗が注意すると、「なんだよ、俺は悪くねえだろ」と和真はすねた顔をした。
「ごめんね、おじいちゃん。もう出てくからね」共子が優しく声をかける。
皆が外へ出ようと歩き出したところで、老人が土間の奥から、何やら黒く細長い筒上の物を手にして戻ってきた。皆は訝しそうな目つきでそれを見る。黒筒の正体が分かると、大学生たちは言葉を失った。それは猟銃だった。
「な、なんだよ、それ。じいさん、冗談やめろよな」と言う和真の声は、うわずり、震えている。銃などテレビや映画でしか見たことはない。本物かどうかなど判断する術はもちろんない。しかし、どう見ても古い型ではあるようだが、本物としか思えない猟銃を前に、皆、動くこともできず、ひきつった表情で老人を見つめた。
「な、何年、何十年もだ。だ、誰にも触れずに、い、生き延びてきた。そ、それなのに……。あ、あいつが、く、く、来る。も、もう終わりだ。い、いいか。し、し、死にたくなければ、だ、誰にも触れるんじゃあない。の、呪われたくなければ、だ、だ、誰にも触るな。い、い、いいな」
老人の表情は、打って変ったように、穏やかになっている。
「呪いって、そんなの――」と和真が言い終わる前に、老人は自身の顔にすっと銃口を向けると、躊躇なく引き金を引いた。和真は返り血を浴びる。視界が赤い。これは、血……なのか……、血とはこうも生暖かいものなのか……。あまりにも唐突に起こった出来事に頭がついていかず、顔の筋肉一つ動かすことができない。他の者たちも、これが現実なのかどうかすら、理解できずにいた。
一間を置いて発せられた、みさえの叫び声をきっかけに、他の大学生たちも次々と我に返り、絶叫すると、一斉に家から飛び出し、森へと駆けていく。
静寂を取り戻した家では、老人の死体だけが横たわっている。老人の腕には入れ墨のような黒ずんだ痕があった。それは手形の痣だった。頭部から流れ出る血で痣は赤く染まっていった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「そうやって、ごまかして、また返事を先延ばしにする気だな」と話を中断させられた大が息を吐く。
「違う。そんなんじゃなくって」早希は手の平を耳に当てた。
「ほら、何か聞こえない?」
「何か、って……」
せっかく作ったチャンスもこうしてなかったことにされるのか、と嫌々ながら大も早希を真似て注意を払った。どうせ嘘だろうと思っていた早希の言葉は本当だった。確かに森の中から、人らしき声が、かすかに聞こえてくる。二人が聞きなれた声ではなかった。
「和真さんたち、ではなさそうだ」
「だよね。誰だろ、こんな森の中に。ねっ、こんなところで会うのも、何かの縁だよ。ちょっと行ってみない?」
話の腰を折るための口実だったことに疑いの余地はない。惚れた弱み。早希に屈託のない笑顔を向けられると、大に早希の提案を断ることはできなかった。
「はいはい。行けばいいんだろ」と大は肩をすくめる。
二人は木の葉に潜るように進んでいき、葉の陰からそっと声がするほうを覗きこんだ。大の目には、見覚えのある黒い車と、黒いスーツを着た三人の男たちの姿が飛び込んでくる。
「あれ、こいつら。どこかで」大が片眉を上げた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
全力で森を駆け抜けてきた和真は、体力が尽きて、歩幅が狭くなってくると、立ち止まる。肩で息をしているところに、晴斗、みさえ、共子が追いついてきた。皆、これ以上走れない、と地面に腰を落とす。
「なんだったの、あれ。もう、やだ。だから言ったじゃない、あんなところ行くの、やだって」息を整えきる前に、みさえが和真を責める。
「まさか、あんなイカれた奴が、いるとは思わないだろ」和真が弁明した。
「マジで、やばかったっすね」晴斗も同意する。
いくら有り得ない事が起きたからって、その感想はなに? そうじゃ、ないよね、人が亡くなったんだよ。今やるべき事は……。共子は一人沈んだ表情で、「でも、これって、早く警察に通報しないといけないよね」と皆に訊ねた。
和真はすぐには答えず、しばらく考え込むと、「いや、電波がつながらない。今は、どうしようもないだろ」と開きなおったように言った。
皆、倫理的には共子の言う通り、警察に連絡するなり、何か行動したほうがよいということは、理解はしていたが、初めて目にする人の死という衝撃を受け止めきれずに思考が働かない。
「とにかくさ、帰ろうよ。あたし、もう疲れた」とみさえが和真を見る。
「そうだな。日も落ちてきたし、暗くなったら危険だ。ひとまず、戻らないか」和真が皆の同意を求めた。
みさえと晴斗がうなずく横で、共子は不安気な顔で周りを探るように見て、「私、早希が心配だから、引き返して探してくる」と言う。
「大丈夫だろ。きっともう戻ってるよ」和真が手を仰いだ。
「でも」
和真は、共子が首を縦に振りそうもない気配を感じとり、頭を掻く。
「分かった、分かった。じゃ、三十分だけ探して見つからなかったら戻れよ。晴斗、おまえも一緒についていってやれ」
「え、俺もっすか?」
晴斗が露骨に嫌そうな言い方をしたことで、共子が悲しそうな顔をすると、晴斗はあたふたと両手を振った。
「うそうそ。共子ちゃん、行くに決まってるじゃん」
「うん……」
「じゃ、よろしくな。こっちは先に戻ってるわ」
和真とみさえはログハウスのほうへと歩き始め、共子と晴斗は来た道を戻り、森の中へと入っていく。
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