第2話 お目覚めのようですね


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 寒さに震えて目を覚ますと、私は神殿の中にいた。もたれていた壁から体を起こす。ぼやけた視界が徐々に鮮明になっていくと、等間隔に配置された巨大な柱が見えた。

「そろそろ皆様がお目覚めになるようですね」

 若い男の声が聞こえて視線を向けると同時に、周囲の人影の様子を窺う。

 三々五々バラけて床に転がされていた老若男女が、不安そうに周囲を見回している。


 先ほどの声の発生源は、柱に備え付けられたスピーカーであった。マイクを構えた男が遠くに見える。

「改めてご説明いたします」

 その声によると、私たちは誘拐してこられたらしい。ここは神殿ではなく、広大な地下施設の中だという。

 男の説明を聞いている間、人々から聞こえるのは漏れる吐息のみで生の声が上がることはなかった。


「と、いうことで。皆様にはスカートめくりゲームをしていただきます」


 この場にいる全員がスカート装であることに気が付いた。男も女も、老いも若いも関係なく、同一デザイン・同一丈のスカートを着用している。

「ルールを説明しましょう」

 無言の私たちの様子を窺いながら、説明は進められた。


「現在のルールは以上になります。説明した事以外は認められますが、どうしても不安ならいつでもお聞きください。私たちはいつでもあなた方を見ていますので」

「ああ、人間への暴力はいけませんよ」

 そうして、男は自動ドアの向こうに消えていった。代わりにバイザーを被ったスーツの男が三人出てくる。これが審判らしい。一人はバイザーがオレンジ色で、回復役も担うらしい。


「六十、五十九――」

 三人の男が声を揃えてカウントを始めた。

 機械の駆動音が聞こえる。

 フラフラと立ち上がる者。

 いまさらすすり泣く者。

 覚悟を決めた者。

 距離をとる者。


「五十一、五十――」

 立ち上がろうとして、立ち眩みのようにふと意識を飛ばしかける。

 立ひざの状態でこらえていると、ゆっくりと眩暈が収まって意識が覚醒した。


「九、八、七――」 

 私はしゃがんだままだが、いつでも立ち上がれるように構えている。


「開始します」

 ホバリングしていた飛行型ドローンが、一斉に散らばった。

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