掛け合い台本 世界線を超えた再会

翔「お前…凛か?」


凛「お兄ちゃん…」


翔「やっぱり…!ちょっと見ないうちに見違えるほど大きくなったな!」


凛「う…うぅ…お兄ちゃん…!」


翔「…!?どうしたんだよ、急に泣き出して…そんなに俺に会えたことが嬉しいのか?」


凛「うん…嬉しい…お兄ちゃんがいなくなったせいで私、一時ひとりぼっちだったから…」


翔「ひとりぼっちって…お前には父さんと母さんがいるだろ…?」


凛「ううん…もういない…」


翔「は…?」


凛「お兄ちゃんが家を出てからすぐ、お父さんとお母さんは事故で亡くなったの…」


翔「え…そんな。じゃあ、なんで俺のとこになんの連絡も来てないんだ…?」


凛「それは…! ……………。」


翔「うん……?? あ、それって……そっか。なんか、大体わかったよ…」


凛「…え?」


翔「要するに、そっちの未来に俺はいないんだろ?」


凛「…!? …うん、そう…お兄ちゃんはお父さんとお母さんが亡くなる前からもういない…」


翔「聞いていいか、俺は何で死んだんだ?」


凛「お兄ちゃんは…その、自分で…」


翔「ふーん、そっちの俺はずいぶんと根性なしだな。ごめんな、妹を一人残すなんてことしちまって。」


凛「ううん…お兄ちゃんは悪くない。私がもっと気にかけていればあんなことには…」


翔「ありがとな。…それはそれとして、お前にいいパートナーが見つかったみたいで良かった。」


凛「どうしてそれを…」


翔「指輪」


凛「あ…」


翔「お前のことだ、そんな高そうな指輪を、ちゃんとした理由もなしに左の薬指に付けるとは思えねぇ。」


凛「そっか、だからわかったんだね…」


翔「ああ」


凛「ねぇ、そっちの世界の私は元気?」


翔「多分な、戻ったら連絡してみるよ」


凛「うん。そしたら…休みが取れたらでいいから、久しぶりに私をあの店に連れて行ってあげて。」


翔「あそこか、わかった。食いきれないほどたくさんご馳走してやる。」


凛「お願いね。…じゃあ、そろそろ行かなきゃ…」


翔「ああ。…ちょっと待て。」


凛「ん…?」


翔「確かに、そっちにはもう俺たちはいない。だがきっと、お前の事はいつだって見守っている。みんなと一緒に、ずっとお前の幸せが続くことを願っているからな!」


凛「……………うん…!!」









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