謡蹟めぐり
@hiyamiutai846
裏・おとぎ話
初めまして… あなた…本はお好き?
(微笑む) そう、では少しだけこの本の物語をお聞かせしましょう。
これは普通の本ではありません、あなたを「暗澹の世界」へと誘う。
闇の世界のお伽噺。
昔々、あるところに。好意を抱いた相手が無惨な死を遂げてしまう呪いをかけられた王国の姫がいました。 もちろん、彼女は恋をすることを許されるはずがなく、牢に閉じ込めれられ、国の人々からは死神などと罵倒され、尊厳も失われてしまいました。
しかしこのままでは王子と結婚し国を継ぐ子供を作ることができないため、彼女を処刑し、新たな子を産むことでこの問題を解決することが決まりました。
処刑の知らせを聞いた彼女は絶望し、助けを求め命を請いますが、その思いが届く日は来るのでしょうか。
(本を閉じる)
どうでした? 今のは闇の童話のほんの入り口。 続きはまたいずれ。
次は…太陽に恋焦がれる、闇の住民の物語。
聞こえてきませんか? 愚かな闇の王の、悲痛な唄声が。
空を見上げた青年は、神々しい光を放つ太陽に見惚れていた。この世で何よりも美しいのはあの太陽であると。そんな彼に太陽の女神がそっと囁く「あなたがもしこの闇の世界の王となることができたら、永遠に果てぬ闇から救い天界で暮らすことを許しましょう」と。
天界は太陽から最も近いところに位置する場所。 より太陽に近づけると思った青年は、王になることを誓いました。
数年後、闇の王となった青年は天界に行くための祭壇へ向います。
本来、闇の住民が天界に行くことは禁忌。
しかし、王となった人間が次々と消息をたっているのはきっと天界に行くことを許され天界に向かったからだと、住民はそう勘違いをしていました。
ですが、王になれば天界に行くことが許されるなんていうのは真っ赤な嘘でした。
少年を諭したのは女神なんかではなく、太陽に心を惹かれた住民に虚言を吐いて死へと誘う、ただの悪魔だったのです。
禁忌を犯した王は、自らが見惚れた太陽の灼熱に身を焼かれることになってしまいました。
〜終わり〜
おや…残念ながらお別れの時間のようです。
二つの物語…いかがでしたでしょうか?
それでは、またいつか。
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〜葉月ゆら Roses Epicurian. 闇童話工房より一部引用〜
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