第4章 セガサターンでセガの面白さを知って(後編)

第24話 レイヤーセクション2(STG)

 西暦2200年余り、増えすぎた人類は地球以外の星にも居住地を作るが、ある時、他の惑星からの反乱を受け、地球はたった一日で侵略と破滅の道を辿たどる。


 そんな地球の人類は反旗をひるがえし、サイボーグの女性パイロット13人で構成された謎の組織を結成した。


 その組織が操縦する13機のRAYと呼ばれた戦闘機により、彼方の惑星から侵略をしてきた同じ人類に対して、それらの人類を滅ぼすことを決定し、最終的にはその悪の発端でもある母星を破壊するために秘密裏で攻撃を開始する。


 闇を切り裂き、レーザーで敵の軍隊を殲滅せよ、作戦コードネーム『光の嵐』のように──。


 ──元はアーケード版やプレステで先行販売された2D縦スクロールシューティングゲーム(以下略STG)による『レイストーム』のセガサターン版である。 


 この頃、サターンでは初期作の『レイフォース』と呼ばれる『レイヤーセクション』を販売しており、『それならば社長、今回は2という形にして販売してみてはどうっすか?』……というごますり? な形式でこの続編タイトルとなった。


 だが、当時はSTGの宝庫に溢れていたサターンだったが、サターンは3D表記(ポリゴン)が苦手だったことが欠点で、透明感のある表現が別の色で補整されていたり、敵の攻撃が激しくなるとプレステ以上に激しい処理落ちになり、画面が見づらくなる欠点があった。


 ──このゲームは2Dで移動しながら3Dのステージを進んでいくという新感覚な内容で、通常の攻撃とは別に敵をロックオンしてレーザーを放つことも可能だった。


 ロックオンは地上にいる敵や高低差で飛んでいる敵も破壊することができ、一度に手持ちのロックオンを敵に集中して命中させるとハイパーレーザーとなり、攻撃力が上昇した。

 ロックオンの連鎖により得点が倍数にアップしていくシステムもあり、ただ敵を攻撃してしまいではなく、色々と戦略性を考えさせる楽しいSTGでもあった。


 ──ゲームスタート時に三機の期待が選択できる。

 R-GRAY 1である赤の機体は緑のショットとロックオンすると同時に追尾するレーザーで、レーザーをMAXまで追尾すると周りを爆風で巻き込むスペシャル攻撃ができ、初心者向けの機体である。


 青の機体はR-GRAY2。

 紫色で自機に流れるようにスライドするレーザーのようなショットに、ロックオンすると対象物の始まりから終わりへと蛇のようにうねるレーザーとなり、MAXまで追尾するとダークホールが出現し、一定時間ダメージをあたえられる。

 こちらはレーザーの威力が赤より弱いため上級者向けの機体となっている。


 サターン版では緑の機体、R-GRAY0という機体も初めから選べるが、こちらの性能はR-GRAY1の試作機といったところだろう。 

 ショットとハイパーレーザーが無いロックオンのみができる機体だが、ロックオンで連鎖すると倍数が極端に跳ね上がる超上級者向けの機体である。


 さらに機種を決めた直後にて、ロックオンレーザーを発動の際に、敵をロックオンしたら即座に自動的に攻撃するオートモードと、ロックオンして手動で発動するマニュアルの二種類を設定することが可能だが、慣れてくるとマニュアルの方が使いやすく高得点も狙いやすい。


 また、今作は放つと数秒だけ無敵時間となる緊急回避用の攻撃が回数限定で使用できるようになり、多少のごり押しでも進めるようになった。


 ──ステージ構成は8ステージとそれなりに長く、前作のレイヤーセクションの世界観とは真逆な地球から宇宙ヘと飛び立ち、最終的に敵の母星にある基地の中へと進むステージとなっている。


 ──近未来のビルが並ぶ街中、イルカが鳴く海の水平線を進むステージ、高速で山頂を駆け抜ける背景、煌めく巨大な戦艦戦、雲を突き抜け、敵の惑星へと上陸などと各ステージごとに特徴があり、ステージの最後では、とある古代文明の異名を持つ巨大なメカニックなボスとの一騎討ちでのバトルが待っている。


 ステージ6のボスである燃え上がったガンダムをイメージした巨大なRAY戦闘機との戦いは必見だ。

 その攻撃力は半端じゃない。


 ──3Dで表現された美しい映像を目にしながら臨場感のある戦いが楽しめるが、STGとしての難易度は高い。


 自機を狙った攻撃が四方から降り注ぎ、意図も予測できないばらまき弾や、高速のレーザー攻撃、破壊しきれなかった敵からの追い討ち攻撃とチェスの駒のように常に先読みで攻防をしようとしないと即座にアウトまっしぐらである。


 自機の当たり判定も大きく、機体に少しでも敵弾が当たると破壊され、移動スピードもそんなに速く動けるわけでもないので、先ほども説明した通り、先手をうっていかないと行き詰まり、すぐにゲームオーバーになる。

 後半になるほど敵の攻撃も激しくなり、処理落ちも頻繁に発生するため、かなりの練習を積み重ねないとノーミスクリアどころか、全面クリアも難しい。


 STGとして史上最強の難易度なシリーズと噂された『ダライアス』の生みの親でもあるタイトーらしい難易度でもある。


 ──レイヤーセクション2はSTGという垣根を越え、音楽(BGM)の評価も群を抜いて高い。


 透明感のある癒し系なシンセサウンドが特徴で、これまたダライアスシリーズで有名な基本ボーカル抜きのゲームバンド、ZUNTATAが作曲したBGMとなっており、このゲームも様々なアレンジとなってゲーム音楽の世界も賑わせた。 


 特に前作のレイヤーセクション(レイフォース)と似たような曲調のサウンドでもあったため、この2が気に入って前作の音楽も聴いてみたというファンも多い。

 後にアレンジアルバムを何枚か発売してゲームと共に大人気となる作品でもあったが、『レイヤーセクション2』としてのアルバムは販売せず、あくまでも『レイストーム』としてのアルバムで販売している。


 ──ゲーム中でステージの都合上、中途半端に音楽が切られてしまうため、この音楽を最後まで通して聴きたいがために、このサントラを手にする人も多かった。

 それにサターン版は音質も悪く、とてもじゃないが、ゲーム内で聴けるレベルではなかった。


 その影響か、サターンの『レイヤーセクション2』としてのサントラは作らなかったのだろう。

 このゲームがドジョウ、いや、うなぎ登りに売れる傍らでZUNTATAによる一番の代表曲と言えば『レイストーム』という認識が強まっていったのだ。


 ──この『レイストーム』はプレステ2や3などにも移植され、大ヒットしたSTGだが、今でも終わりを見せない勢いで、新たなリメイク版としてプレステ4などでも移植が決定した。


 初期の発売はプレステで96年代と古いゲームだが、ロックオンでスコアを叩く中毒性のあるゲーム性、迫力のあるポリゴンのステージ、プリンのように滑らかな食感なボスの変形シーンによる演出面と、それらの華やかさは健在で、いつ遊んでも古臭さを感じさせない。

 唯一、難易度が高いのが欠点だが、2D STGとしては指折りの部類に入る名作でもある。


 ──敵を捉え、攻撃をする前に真っ先に破壊していく爽快感が病みつきになるゲーム。

 この良質なゲームはこれからも後生こうせいへと伝えられていくだろう。

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