第17話 サンダーフォースⅤ(STG)

 時は約2100年、人類が宇宙に向けての生存先を経済へと運営するべく、銀河へと開拓を始めた新時代。


 とある銀河の治安調査中の宇宙船の乗り組み員が現在では開発できないほどの構造で作られた高性能な戦闘機ライネックス(サンダーフォース4の自機)を発見する。


 人類はその戦闘機を情報として運用し、ガーディアンと名付けた人工知能により、地球は飛躍的に大きな技術を得ることに成功。 

 その結果、選りすぐりな大いなる星へと発展することができた。


 ──しかし、それから50年後。

 この自機のシステム、ガーディアンが突然、自我を持ち、驚異なる兵器に裏返り、人類に敵対し、兵器として暴走する。


 人類の三分の一という大半をこのガーディアンの兵器によって奪われ、最高機関である軍の司令部は似たような対抗力を司ったガンドレットという戦闘機を新たに製造し、ガーディアン殲滅作戦を実行。

 敵となったシステムたちに勇敢に立ち向かっていく……。


 ──このゲームはゲーマーの心を揺れ動かしたセガサターンで面白いゲームで一ヶ月も一位を獲得し続けた大人気の縦スクロールSTG(シューティングゲームの略語)であり、お馴染みサンダーフォースⅣの続きを引き継ぐ正統派シリーズの続編である。


 ──白を基調とした青く細身のフォルムの戦闘機を操作して並みいる敵を撃墜していくゲームであり、シリーズ最高の爽快感を持っており、なおかつ2Dなのに映像は3Dと当時にしては珍しい作風であった。


 ──敵や障害物をギリギリで避けると貰えるスクラッチボーナスや、固い敵やボスを早く破壊することで得点が倍になって加算されるハイテンポボーナス(最高16倍)というシステムを追加し、前作に比べ、STGとしてのやり込み度がアップ。


 さらにクローという単なる飾りちゃんな武器強化装備が三個に追加され、敵弾を弾きやすくなり、機体の防御力が上がり、そのお陰でより戦略性が広がった。


 この球状なクローのエネルギーを消費して放つオーバーウェポンは通常の兵器をパワーアップさせ、どんな相手とでも正攻法に渡り合えるようになった。

 誰とでも、放てば分かる、何事も……。


 また、これまでの武器に新たにフリーレンジというアイテムが追加。

 三角形の緑の枠内に敵が入ると強烈な攻撃を放って瞬時に相手を滅ぼす。


 このフリーレンジにオーバーウェポンを組み合わせた強烈なイナズマ攻撃が凄まじく、腕を磨けば、ボス相手でも秒殺で倒せる力を秘めていた。 


 壁への貫通能力が無くなったが、追尾攻撃のハンターも強力で、このフリーレンジとハンター、二つの装備があれば他のアイテムは必要ないと噂されたほどだ。


 特にフリーレンジが強すぎて、この作品のゲームバランスが大きく崩れる要素もあり、二~三形態にも及ぶボスの変身ポーズをさせる前に、世界を滅ぼす悪だから問答無用で葬り去るー! という半端ない威力もあり、ものの数秒で破壊できるパターンが主流となった。


 逆に前作まで大活躍な超音波攻撃ウェーブの威力は弱くなり、全然駄目になった感が拭えなくもない。


 ──ステージ1、リズミカルなサウンドから始まり、仲間のガンドレットの機体たちと共に大空を駆け巡り、大海原を飛行するシーンがカッコ良く、後に海に潜って竜宮城に行ったかのような竜なるモンスターの踊り攻撃を潜り抜けながら、再び外へと浮上。


 後方から敵の放つストーカー全快な誘導ミサイルを何とか迎撃しながら、ボスの潜む海面へと到着するが、このミサイルを避け続けるラストのBGMがサンダーフォース3のステージ1のアレンジBGMへと自然に切り替わる。


 このBGMからファンの心を鷲掴みにし、サウンド面でもシリーズ最高峰の演出と伝えられるようになった。


 さらに、このゲームはステージ7まであるが、オープニングで前半全3面によるステージから好きなステージが選べ、ステージ2が生物が飛び交う森林ステージ、ステージ3が闇夜を疾走するハイウェイステージとなっている。


 どれも見応え満載で迫力のステージだ。


 ──後半、ステージ5の演出も憎い。

 上空へと静かに舞い上がる最中、味方の助けにより、巨大な武器を積んで宇宙戦艦トマ(女性パイロットの設定だから)のような姿になった自機は半永久的に極太のサンダーソードやバックレーザーを使用可能に……。

 機体の耐久率が無くなるまで、宇宙空間にいる敵の機動兵器や戦艦をあっという間に滅ぼしてしまう。


 そうして機体は様々な武器を強化した第二機種のヴァンブレイスへと引き継がれる……。


 この憎い演出は後半にも現れ、4の自機のライネックスがブレイドにミサイルやハンターなどを使い、単独となってこちらに攻撃を仕掛けてくる。


 そしてボス戦ではライネックスが超巨大戦艦と合体。

 サンダーフォース4のオープニング曲のロックなアレンジで集中攻撃を仕掛けてくるのだ。


 ──このようにⅤはサターンの機能を生かしたポリゴンを最大限に引き出し、目で見ても楽しめる要素もふんだんであり、これで熱狂しないゲーマーはいないだろう。


 敵の出現位置も警告ランプで分かりやすくなり、ボスに残りの体力ゲージが付くようになって、シリーズ初心者にも優しい設定になった。

 前作で問題視されていた、処理落ちの点もほぼ解消された。


 ──クリアまでの通しのプレイ時間も30分足らずとお手軽で、シリーズを通して知らなくても、物語の作りが丁寧で、なおかつ上手な展開なので違和感すらもない。


 ──ゲームを全クリアすることに様々なおまけ要素が追加される中、末恐ろしいのがハード以上の難易度を誇るマスターモード。

 敵の出現が予測不可能で敵の動きや攻撃も激しく、アイテムも早々出ないという厳しいモードである。


 STG好きでこのゲームにのめり込んだゲーマーな私は、そのマスターモードで、敵の攻撃を巧みに避けて、フリーレンジのみで挑み、三回無敵なバリアのアイテムをとっても、一かすりもダメージを与えさせないすんごい腕前を持っていた。 


 合計スコアも9億9千万……を越える限界を突破し、表示された数字がバグっていたくらいだ。

 とてもじゃないが、今では真似できない。 


 ──エンディングは数種類あり、ラストのラスボスの倒すタイムでエンディングが変化し、早々に倒さないと自機が宙に浮遊したまま、ノイズ混じりの無線による絶望の窮地に立たされるバッドエンドが待ち構える。


 その反面、グットエンドの内容はきらびやかでこのシーンで涙ながらに感動するゲーマーもいた。


 ──後にこのⅤは細かな要素を追加してプレステにも移植され、通販限定で販売されたサントラも大ヒットするが、この人気ぶりにも関わらず、サンダーフォースを売りにしていたメーカーのテクノソフトが倒産の道へ進み、このシリーズはエンディングのクレジットの終わりの文字のごとく、Ⅴで終わった……。


 ──それから数年後、その著作権らをセガが買収し、全てのことは丸く収まったはずだったが、新作のⅥをプレステ2で発売した時、暗雲の世界へと包まれていく。


 各ステージのボスがⅢ~Ⅴとまったく一緒の姿、フリーレンジの極端な弱体化、ラスボスの正体や動き自体が色々と怖すぎる、モンゴル語を交えた意味不明なエンディング……などと批判が大きく、よってサンダーフォースはⅥでとんでもなく化けたゲームへと変化した……。


 サンダーフォースⅤ。

 シリーズ最高のSTGであり、映像、音楽、演出どれをとっても文句の言えない作りで、歴代のSTGの良作にも並ぶ素晴らしい作品である。


 残念ながらⅥでは失敗作という烙印を押されたが、現時点でもゲーマーの心を刻んだ史上最高の2D STGの一つであることには間違いない。

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