祖父の「戦争反対」

まもり ちとせ

結核

祖父は、幼いころから身体は丈夫ではなかった。

身体が大きくなると、肺病(結核)に罹った。


「肺病のおかげで戦争に行かずに済んだ」

「戦争はいけない」

「戦争はダメだ」


私が小さな頃からよく聞いてきた言葉。

小さい頃は、この言葉をそのまま受け取り

「戦争行かなくてよかったねぇ」

「肺病なおってよかったねぇ」

そう思っていた。


中学の頃だろうか。

いつも出てくる話の中で、戦争に行かないことで

周囲から冷たい目で見られたこと、病弱であることを責められていた。

そんな目がつらく、徴兵検査を受けてもすぐに帰された。

戦争で亡くなった仲間の家族と会ってもらえなくなった。

そんな話を聞いて


生きていることが素直に喜べず

戦争で亡くなった仲間たちへの後ろめたさがある


そんな祖父が言う

「戦争はダメだ」という言葉の重みを

自分の年齢を重ねるたびに感じていくようになった。


いつも戦争時代の話を繰り返し 聞かされた と思っていたが

祖父が亡くなり、だいぶ年月が過ぎた今 聞くことができた 頃を懐かしく思い出し

そして、貴重な経験だったと感じる。











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