それでは、束の間の終幕を
多奈加らんぷ
第0.1話 始
「なぁ、図書館って本を読まないと居ちゃいけないような気がしないか。」
「ずいぶんと詩的なご挨拶だな。」
「楽器屋も楽器やってるやつじゃないと入っちゃいけないような気がするんだ。喫煙所だとか病院だってそう。」
「俺を消してどうする。お前は数多の人生を踏み躙って何がしたい。自身が悪だと開き直って満足気か。おい。」
「.....僕は、お前が作った世界が気に入ら無かった訳でも、憎んでるわけでもないよ。」
「じゃあ、」
「ただこの世界では、フィルター越しの空気を吸って、酒で頭を鈍らせて、薄目で世界を見ないとどうにも生きていけなくてね。」
「お前がどう感じただとか、そんなものはどうでもいいんだ。感傷的に浸ってキザぶりやがって。」
「僕はそうやって生きていくことにしたんだ。お前がそうしたように。」
「...バカが」
「じゃあすまないが、そろそろ行くよ。」
「無駄なことだぜ。束の間の夢だ。それでお前は終わ..」
先程まで対峙していた男は消え、それと同時に空は突然明るくなった。1人残った男は腕時計を確認すると、煙草を靴の裏で乱暴に消し歩き出した。空気は依然として凜と澄んでいた。
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