深くて浅い
バブみ道日丿宮組
お題:つまらない怒り 制限時間:15分
数年ぶりに実家に帰ることになり、数日過ごしてると甥っ子が家にやってきた。
可愛らしい白のワンピースを着てた。
でも、全身から出てるオーラは真っ赤だった。
泣き叫ぶということはなくて、ただ目に訴えかけてる。
両親がいるとそんな感じだが、両親が部屋を離れるとすぐにニコッと笑顔になる。すごく可愛らしかった。
いったい何が彼女を襲ってるのか……って彼女?
甥っ子は確か男の子だったはずなんだけど……?
確認するのは簡単だけど、いろいろまずい気がする。
なので言葉にする。
「○○って男、女?」
甥っ子は首を傾げて、
「男の子だよ」
睨みつけてきた。
だよねぇ……。
となると、これはいったいどういうことなんだろうか。
女装趣味?
こんな低年齢でそんなことが?
「僕は男の格好したいのに、母さんたちは女の子の服ばかり買うんだ。世間も世間で僕を女の子扱いする」
愚痴は止まらなかった。
更衣室やら、トイレやら、体育の競技などなど、男ではなく、女として登録されてるらしい。ちなみに制服も女。
そんなことある? ないよね。
甥っ子のことを信じないわけでもないけれど、甥っ子の両親がやらせてるようには思えなかった。
プチりと、何かが頭のなかでちくちくとした。
「頭おかしいよ……ほんと」
悲しそうな顔をしたので、甥っ子の頭を撫でると嫌がった。
まるでそれは女の子を扱うみたいで、気に触ったようだ。
可愛いから。
根底にあるのはおそらくそういうことなのだろう。
けれども、男の子だ。
家族会議に上げるべき話題なのかもしれない。
というか、父と母は何も言わないのか。放任主義ってわけじゃなかったはずだが……。
夕ご飯で家族一同が集ったので話題にあげてみると、誰一人として疑問に思う人はいなかった。
なんで?
声を荒げるのは、自分と甥っ子のみで、他は女の子だよと笑うばかり。
すごく気持ちが悪かった。
家族というのがわからなくなった。
深くて浅い バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます