それぞれの思い

一瞬、静まり返る部室内

安田は戸惑った表情を魅せる。


なんて美しいんだこの野郎、俺は女体が好きなんだ!!俺に来るなら、竿を切り落としてから来い!!


富田君とは昨日まで、仲よくしてたはず、なにが不満なんだろう?

そんなことを思いつつも僕は気持ちをぶつけることにした。

「嫌だよ!!折角、人見知りもよくなってきたのに」


殺伐とした雰囲気の中、沢田が立ちあがった。

「あー、糞!!これで5連敗だぞ、やってられるかよ」

沢田が山内に顔を突き合わせる。

「手加減してください」

そんな情けないことを沢田は言い、

山内は

「歩のみで戦ってるのにこれ以上、手加減できません」

と返した。沢田が辺りを見渡すと富田に気付いた。



めんどくさい奴が来た、そんなことを思っていると沢田がこっちに来た。

今、大事な話してるのに


沢田は富田の所に行くと額を突き合わせ

「来たら、挨拶をして下さい」


さっき、挨拶をしただろうが、返してないのはお前だけだと思いながら、佇んでいると


安田が「富田君はちゃんと挨拶してたよ」

と言った。

沢田は目をきょとんとさせると辺りを見回し、皆はうんうんと頷いた。

沢田はとても嫌そうな顔で富田に謝った。

「ごめんなさい、よろしくお願いします」


安田の勇気に俺はあそこを切り落とそうかと考えたが、それでは俺じゃなくなってしまうと思い、思いとどまった。


くそ、俺としたことが小さなミスで謝ることになっちまったぜ、ここがアメリカだったら、何千万と訴訟を起こされていた所だ、アブネェぜ。そういえば、さっき、何か聞こえたな、何だっけか?そういえば

「退部だって?」


部員の全員がこっちを注目する。

ヤバい状況になったぜ。こんな注目されてたら緊張して、言えなくなってしまったではないか。


中田が筋トレを止めて立ちあがり、海藤がその場に寝転んだ。


この馬鹿はまた部の輪を掻き乱しやがって、どうせ、くだらない理由で退部って言ったんだろう。メンドクセェ。


中田は横目で倒れこんだ海藤を見た。

コイツ、また回数を上げてきあがった。油断ならないぜ。


中田め、腕がヤバいのに平然としてやがる。化け物化コイツ。

腕が生まれたての小鹿のようにプルプルする。これがバレたら、肉体的にも精神的にもやられてしまう。もうちょっと回復してから立ち上がろう。そのためにはこの事件を利用する他にねえ。

「おい、富田、安田に因縁か?相応の理由があるんだろうな」


海藤の様子を眺めていた山内は海藤の腕が小刻みに震えているのを確認した。


僕は海藤君の様子を見て、体力の回復を計っているのが解った。

「ねえ、海藤君、腕が振るえてるけど、大丈夫?」


海藤は身体の電気信号の訓練だと言って、強引にごまかした。


糞、山内め、メンドイ事に気が付きやがって、

「おい、富田どうなんだよ」

俺は注意を富田に向けることにした。


関は一連のやり取りを見ていて、興奮していた。


電気信号の訓練だって!?

大脳からの信号であそこをでかくするみたいだけど、まさか、

こんな公衆の面前で?


そんな時、ドアが勢いよく開いた。

そこには短髪に眼鏡を掛けた、教師が立っていた。

名前は前川健(41)この総合部の顧問を務めている。

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