明治とよく似た明而時代の北海道に転生した元自衛官の穂高進一は、猟師(マタギ)の祖父から山歩きと鉄砲を学び、一人前の猟師として成長する。
その進一が16歳の冬、集落がヒグマに襲われる事件が起こる。何人もの女子供を喰った凶暴なヒグマと、地元の警察官と猟師による討伐隊との三日三晩にわたる死闘は、まさに『三毛別羆事件』の再現で恐ろしさに背筋が凍ります。
熊退治で活躍した進一は、さらに広い世界を知るために札幌の軍学校へと進学します。
鬼教官のシゴキに耐えながら、同級生と絆を深めていきますが、雪中行軍の訓練中に猛吹雪で部隊ごと遭難してしまう。仲間と全員で生きて下山するため、進一はまたも知恵を駆使して立ち回る。極寒の雪山でのサバイバル術が興味深いです。
一方、日本と大国ルシアの関係が次第に悪化して開戦の兆しが……。陸軍へと入隊した進一は、日本とルシアの地獄のような戦争へと巻き込まれていく。果たして進一は生き残り、日本を守れるのか。一人の愛国少年が歴史を覆す、戦記物語です。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲 優詩)