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 永遠の愛とは言うけれど、それはきっと本当の意味の『永遠』じゃない。

 だって、死んじゃったらそこで終わりだもん。


 ひょっとしたら『死ぬまで忘れない恋』とか『生涯を懸けた愛』みたいなのはあるかもしれないけど、それも精々五十年とか六十年くらいでしょ? 永遠には、程遠い。


 でもよくよく考えてみたら、私たちは本当に『永遠』を望んでいたのかな。

『永遠の愛』なんてロマンチックだけど、でもそれはきっと傍から見てる場合の話で。

 だって、例えば私が魂を賭して書き上げた渾身のラブレターが三千年後の人間にまで晒し上げられてたら、きっとすっごく死にたくなる。その頃にはとっくに死んでるけど。


 だからね、私が求めてるのは『永遠』なんかじゃない。

 それはきっと、短い人生の中で、ただ決して冷めることない熱なんだ。



 君が余命を宣告されたのは、二年前の夏だったよね。

 すっごく治すのが難しい病気だったか、もしかしたら治す方法のない病気だったか、とにかくそんな絶望が君と私を蝕んでさ。


 私ね、本当は泣いてたんだよ。

 君がいなくなるなんて、そんなの信じられなかった。

 バレてたかな? バレてたよね。君の優しい微笑みの意味は、そういうことだよね。


 でも、バレバレだったとしても、せめて君の前では立ち続けていようって、安心して今日や明日を生きてほしいって、そう思ったから私は言ったんだ。


「私、毎日会いにくるから」


 距離とか、時間とか、そんなチンケなものより大事なものがあったんだ。もちろん、君のこと。

 だから何がなんでもって気持ちで、半分くらいは自分のために、君に言ったんだ。

 そしたらね、君はさ、私をびっくりさせてくれたよね。


「――うーん。そんなことよりもさ、君が私を殺してくれない? 今、すぐに」

 

 

 日々は続いていく。

 明日は、望んでなくてもやってくる。

 そしたら、今日が一番新しい日になって、昨日は過去になる。


 忘れていく。消えていく。

 君がいた世界が、君を知る世界が、どんどん小さく、遠くなっていく。


 それでも、私の中の君は消えない。

 一生、きっと死ぬまで――この手に、この胸に、魂に灯った熱は、消えない。


 もし自分がいなくなったあとも、誰かの心に住めたなら。

 たとえ世界に忘れられても、たったひとりの魂に宿れたら。

 それって、『永遠』って言っても、いいんじゃないかな。


 

 

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