第41話 【存在進化について】

 存在進化という現象について知っているだろうか。この進化は各地の伝承によって伝わっている。そして、それらの伝承の多くはは英雄譚である。交流が無い地域の伝承にも共通していることがこの現象が実在することを裏打ちされている。しかし、この本を書いている私はエルフで長命な種族であるが存在進化をした者を見たことがない。なので、ここからの記述はあくまでも伝承からの推測であり正しい知識ではないことを理解してほしい。

 まず、これらの伝承に登場する種族は大きく2種類に分けることができる。成長に伴って大きく見た目を変化させていく種族と変化しない種族というように分けることができる。そして、進化後には2つの特徴が入れ替わる。つまり、見た目が変化しない種族は見た目が変化するようになり、変化する種族はこの進化による変化を最後に見た目が変化しないようになった。

 これらの伝承には発生する時代にも大きな共通点がある。それは、存在進化が発生した時代には大きな戦いが発生しているということである。戦記物から勝者、敗者に関係なく戦う者に等しく発生しているようだ。

 存在進化はこの世界に争いがある限り等しく全ての者に訪れるものであると思われる。その変化を理解して適応することが勝利するのかもしれない。私は英雄の役に立つことが夢であった。しかし、私は英雄を見つけられないまま歳をとり、老いてしまった。私が未来の英雄の役に立つことができたならこの私の夢は叶うだろう。生きているうちに叶わないかもしれないが、大地にてゆっくり待つのもいいだろう。未来の英雄候補よ頑張って私の期待に応えてくれ。そんな願いを込めてこの本を締めたいと思う。

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