第2話 食べてください
一カ月前から、夫が帰ってくる時間が遅くなった。
毎日深夜に帰宅してすぐに寝てしまう。
夫はルチアに夕食はいらないと連絡してくる。
夕食の時間はいつも、夫と話をしていた。数十分のその時間がルチアは毎日楽しみにしていた。
今日も夫の帰宅は遅いらしい。
久しぶりに学生時代の友人から連絡があったから、家に招いて夕食を一緒に食べた。
「ルチア。すごいね。普段からこんなに作っているの。すごく美味しいわ。」
友人は手土産としてルチアの好きなアイスを買ってきてくれていた。夕食後、一緒にそのアイスを食べる。
「ふふふ、栄養バランスには気をつけているの。喜んでもらえてよかった。最近夫の帰宅が遅くて、一人で夕食を頂くことが多かったから、ちょっと寂しかったのよ。」
友人は、少し訝しそうに言った。
「帰宅が遅いって確か旦那さんは残業がほとんど無い所に勤めているってこの前言っていたでしょ?」
ルチアは言った。
「そうなのよ。でも、1カ月前から急に仕事が忙しくなったのか、帰ってくるのが深夜なの。朝も凄く早くに出かけるし。」
友人は言った。
「ねえ、もしかしてだけど、それ本当に残業なの。リアナの姉夫婦が離婚したって、この間聞いたけど、不倫してしていたそうよ。残業や出張って言ってたらしいわ。」
ルチアは言った。
「まさか、私の夫に限ってそれはないわ。すごく真面目な人だもの。」
その時は、笑って答えたが、相変わらず夫は毎日遅い。夕食を家で食べない。休日も、一日中外出する事が増えた。
(まさか、、、、でも、、、、、)
今日も、夫は残業らしい。ルチアは、夫の会社へ電話をしてみた。
しかし、夫は会社にはいなかった。いつもと同じように定時で帰ったと言われる。
ルチアは、嫌な予感に身震いした。
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