魔法狩り〜勇者に転生して最強魔力を手に入れたけど、あれ? 技術の進歩の方が便利じゃね
彩理
第0話 勇者、じゃけんにされる
「ラキシス様。魔王討伐に行くのなら一人で行ってもらっていいですか?」
目の前には二人の美少女が並んでいた。
一人はピンクの髪に認識疎外の眼鏡をかけているが、アリエル嬢だろう。白いうなじが可愛いを隠せていない。もう一人は派手な胸まわりの聖女候補で皇太子の幼馴染、マリアンヌ嬢だ。
「俺は魔王討伐に行く予定はないけど」
「じゃあ何で学院に入学するんですか?」
「魔法と剣の腕を磨くためだ」
「しらばっくれなくていいです。もうわかってますから」
腕組みをして、ズイっと間を詰めてくるマリアンヌ嬢はなぜか抗戦的だ。
「わかってるって何を?」
これからの計画がバレているのかも、と不安になったが、まさか俺がこの世界から魔法を無くそうとしてるなんて気づくはずないよな。
「ラキシス様って、転生者ですよね」
「……」
「7歳ですでに奴隷じゃないという話を聞いた時からそうじゃないかと思ってたんですよ私達」
「ね」とマリアンヌ嬢がアリエル嬢にかわいく同意を求める。
妙に尊いものを見せてもらったような気がして、感動してしまう。
この際、どちらがヒロインでどちらが悪役令嬢とか関係ない。
可愛いは正義だって誰か言ってたけど、まったくその通り。
「勇者になってもならなくてもいいですが、私達には構わないでください。特にアリエルには1メートル以内に近づかないで」
「は?」
アリエル嬢に避けられてるのは知ってるけど、なんでそんなことを会ったばかりの令嬢に言われなくちゃならないんだ?
スマホがない現状、楽しみといったら可愛いを
「それと、私は聖女にはならないので、他言無用で」
「ちょっと待て、さっきから一方的すぎじゃないか」
「「……」」
「もしかして、あなたシナリオを知らないの?」
マリアンヌ様の言葉にようやっと、目の前の二人がシナリオの話をしているのだと気が付く。
「私には推しが別にいるから皇太子となんか結婚したくないし、アリエルとあなたが結婚したら闇落ち腹ボテだから」
え!?
「闇落ち腹ボテ?」
あまりの衝撃の言葉に、呆然と繰り返してしまう。
闇落ちは困るけど、腹ボテはハッピーエンドでは?
思わずアリエル嬢に視線をやると、みるみる顔が赤く染まっていく。
「とにかくシナリオ回避に協力してください」
涙目でちょっと上目遣いに俺にすごむ。
いや、すごんだ顔もかわいいけどね。でも、俺とはそんなに無しなんか?
「確認だけど、俺にはどんなエンドが待ってるんだ?」
2人には俺はゲームの序盤しかプレイしていないことを話した。
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