カクヨム甲子園について(2)
前エピソードで「死を扱った作品が多い」と述べましたが、さらに作品を読み進めたところ、その状況について少し考えも変わってきました。
三十代半ばの私としては、「せっかく高校生なのだからもっと爽やかで明るい題材でも良いのに」とオバサンめいたことを考えてしまったのですが、よくよく自身のことを思い返したのです。
そういえば私も、「二十歳までは生きたくない」と考えているような十代でした。
カクヨム甲子園において、「死」の描写が頻出するのは、「死」への飽くなき憧憬の念が、作者自身知らず知らずのうちに込められているのではないか。そう思うようになりました。
よって、高校生が扱う作品に「死」が多いのは、ある意味で「高校生らしい」現象なのです。
それでも、ラストに「死」を持ってくるのは、安直な終わらせ方だなぁと思う作品も少なくありません。
古今東西、想い合った二人が心中したり、想い人が目の前で死を遂げたりという作品は数多くありますが、それに倣ったものだとしても、ちょっと安易な締めくくり方だと思ってしまいます。
ただし、「死」への唐突さが味になっている作品もありますし、この辺りは情景描写の技巧力の差によるものでしょうか。
さて、イベントとしてのカクヨム甲子園では、やはりオバサンが思うような「高校生らしい爽やかな青春」が結局のところ求められているような気がします(運営様の御心はもちろん知りませんが)。
私も自身の作品で登場人物を「殺した」ことがある身ですので、例え小説の中のキャラクターであったとしても、その「死」については慎重になって欲しいと思いますし、イベントで上位を狙うなら、やはり「死」は避けた方が無難なのではないでしょうか。
けれども、「高校生の内にしか描けない死」というものもまた存在すると考えます。
どうしても「死」を描く必要があるのであれば、果敢に挑戦して欲しい、とも私は思います。
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