序章

プロローグ!

 地球は支配者ヒトの選別に失敗した。

 産業革命、核開発、森林伐採、地球温暖化、生態系の破壊。

 それは恩を仇で返すような破壊行為。

 あるいは真綿で首を絞めるような自滅行為。


 産業革命以後、世界各地で〈怪獣〉の出現が報告され始めた。

 その姿はヒトが描いた伝説伝承の形を成し。

 その行動原理はただヒトを殺すことのみ。


 地球からヒトへの贈り物。

 「霊長の自殺」。


 これが俺たちの世界の常識。

 もちろんそうであって欲しくはなかったけれど、しかし拒みようのない現状。

 現状。

 そう、現状俺たち人類は、頻出する怪獣達によって危機的状況にありながら、それでも二十億人ほどの人間は生き残っている。

 なぜか。

 それは簡単に言えば、人類が築き上げてきた二十万年の歴史も捨てたものではなかったということ。

 その中で獲得した地球からヒトへの肯定もまた存在していたということ。

 まだ地球にもヒトを思う気持ちはあると、そういうこと。


 〈怪獣〉の出現と同時に。

 世界中で人ならざる異才を持つ人々が出現した。

 個人差はあれど、〈怪獣〉と互角にやりあえるほどの力を持つ者。

 

 俺たちは彼らのことを、〈怪人〉と呼ぶ。


 

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