第9話 夜の散歩での恐怖体験

僕はコロナ期間に、毎日のように散歩をした。


とても快適で楽しい散歩ライフだったが、

人生最大のピンチをこの散歩で迎えるとは思わなかった。


当時、僕が住んでいたのは、横浜市中区。

関内駅近くで、それなりに飲食店、コンビニ、病院、サロン、なんでもあるエリアだ。


そんな街に住み、外出時のトイレの心配など皆無だった。


その日もいつものように、散歩をしていると、夕飯を食べすぎたのか、、、


突然、トイレに駆け込みたくなった。


催した時、焦らずに一番手前にあったローソンのトイレを借りようと、入店した。


まさかの表示。

『感染拡大防止のため、お手洗いの利用はご遠慮ください』。


、、、???


なんと、、、



焦らずに、、

ローソンを諦め、

50メートル先のファミリーマートに入った。


そこでも、、無常にも、、

『感染拡大防止のため、お手洗いの利用はご遠慮ください』の看板。


少し焦りがでてきて、、

更に50メートル先のセブンイレブン を目指す。


コンビニで一番といえばセブンイレブン 。

セブンなら、、、


期待と不安でいっぱいになりながらも、入店すると、、


見慣れた看板、、

『感染拡大防止のため、お手洗いの利用はご遠慮ください』


もう、僕の身体はご遠慮できる状態ではなく、爆発寸前だった。


アルバイトの方に、

『すいません。

どうしてもトイレに行きたくて、、、

終わったら掃除と消毒するからかしてくれませんか??』

と、縋るようにお願いをした。


アルバイトの方も、親身に『オーナーに電話するから、待ってくれ』と電話をして聞いてくれることに。


数分、ビッグウェーブを抑えながらも待って返ってきた言葉は、『ごめんなさい』の一言だった。


コロナウイルスよりも他の物を撒き散らしそうになりながらも、セブンイレブン を後にした。


いやいや、、

本格的に困った。


3店舗とも同じ対応ということは、どこのコンビニも同じだろう。


時計の針は22時。

いつもはいくらでもある飲食店も開いていない、、、


本格的にやばい。


タクシーで家に帰ろうと考えたものの、、

タクシーも走っていない。


なぜだ、、

関内の金曜日だぞ、、。


なぜだの答えは緊急事態宣言中だからの一言に尽きるのだが、、、

当時は泣きそうだった。


そして、、

200メートル先に交番があることを思い出した。


きっと市民の味方として、トイレを貸してくれるはず。

こち亀でも、道路工事作業員がトイレを借りていた。

きっと貸してくれる!!

と、、自分に言い聞かせて交番の扉を開けた。


そこに人の気配はない。

無常な貼り紙。

『ただいまパトロール中』


、、、、

僕のお腹をパトロールしてほしい。。。


ドンドン追い詰められ、、

街を歩き、自爆も覚悟したときに、赤い看板が点灯しているのが見えた。


そう、牛丼のすき家だ。


ここでダメなら、もう無理だ。

諦めるしかない。


諦め半分・・すり足のように歩くと・・・

店が空いていた!!


テイクアウトONLYであったが、店員さんがいた。


入店するなり、「トイレ貸してください!!」と懇願した僕に、

店員さんは優しく「奥にございます。どうぞ!!」


僕は感謝をつげ、トイレを借り、0.1秒でこれまでの我慢を解放した。


なぜかBGMにハナミズキが流れたのだった。


トイレで手を洗い、持っていた消毒液で丁寧に消毒し、店員さんに感謝を告げた後に、牛丼をテイクアウトして帰路についた。


いつでもトイレのある自宅で食べる牛丼は心から美味しかった。

美味しいご飯は、健やかな健康状態でのみいただけることを痛感した1日だった。


これからも、僕の薄っぺらい人生で最大のピンチを救ってくれた「すき家さん」を全身全霊でお礼をしていきたい。


本当にありがとう。すき家さん、ゼンショーグループさん。


僕の人としての尊厳を守ってくれたのは、あなたたちです。

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