暑い夜
「……暑い」
真っ暗な天井を眺めながら、俺は全身に感じる暑さと喉の渇きで目が覚めた。
両脇に感じる肌質に、こんな状況に陥った原因はいとも簡単に理解出来る。
またサンドイッチ状態か。
最初にこんな状態を経験したのは春先。まだ少し涼しさも感じていたから、気付くのは朝だった。
けど、徐々に季節は暑さを増してくる。結果として、最近はこうして夜中に目が覚める事が多くなった。
っと。薄手の布団だけど、やっぱ体温って凄いんだな。てか、2人共肩に深々と布団被ってるけど暑くないのか? 布団ちょっと下げるか……はっ?
幸い今日は、腕を掴まれてないという事もあって、俺は布団を少し捲り上げた。すると、何気なく目に入ったのは美由の上半身。ただ、横で寝ていたその姿は……いつもとは違っていた。
Tシャツ姿ではなく……黒っぽい色のブラジャーのみ。いわゆるほぼ裸に近い姿だ。
おいおい……マジかよ。流石に今まで添い寝してても、ブラジャー1枚なんて無かったぞ? って、もしかして……
美由の姿に、何となく嫌な予感を感じた俺は、左側で寝ている美世ちゃんへと視線を向けた。するとどうだろう、そこに居たのは白っぽいブラジャーのみの美世ちゃんだった。
お前もかよっ! あぁやっぱりあれが原因か?
その瞬間、頭に浮かんだのは……家に帰って来た時の光景だった。
希乃先生のマッサージを受け、スッキリした感覚のまま帰宅した俺。暫くすると部活を終えた2人が帰って来たんだ。
そしてソファに座って、診断の話や部活の話なんかをしていた時……
『あれ? 空くんまた女の人の匂いがする。この前の女の人の』
『ホントだ』
なんて、前のデジャブの様な感じになった。
流石に2度目の疑惑って事で、今日は前みたいにすんなりとはいかなかったんだよ。まるで取り調べ。
だからさ? 俺も話したんだ。マッサージ受けた事。その整体師さんが詩乃先生のお姉さんだった事。容姿や雰囲気なんかもね?
そしたらなんか納得してくれて、普通な感じに戻ったと思ったんだけど……いつもは予告なしで布団に潜り込んでる2人が、今日は事前に予告してきたもんな。
『今日、2人でお邪魔するね?』
いつも通りだとは思ったんだけど……まさかこんな格好だとは。少なからず希乃先生の事気にしてんのかな。ふぅ。ただの先生だし、2人が何を思ったか分からないけど、何にもないぞ?
まぁ、俺のただの予想でしかないから……2人の本心は分からないけどさ。
「すーすー」
「むにゃむにゃ」
それにしても、気持ち良く寝てるな。こうして見るとやっぱ2人共可愛い。しかもその顔にこの胸って……やっぱ反則だよな。プラス、ブラ姿って……
その瞬間、反射的に自分のテントが反応する様な気配を感じる。いくら生理現象とはいえ、ここではまずい。
俺はとりあえず落ち着きを取り戻す為に、キッチンへ水を飲みに行く事にした。
やっ、ヤバい。とりあえず水でも飲みに行こう。起こさない様に布団を捲って……って!
その時だった。布団をゆっくり捲ると、自然と2人の下半身が姿を現す。すると、目に飛び込んできたのは……なんとパンツ1枚の姿。
そう、2人共完全に下着一枚状態で寝ていた。
ずっ、ズボンも履いてないのか! 流石に上半身だけだと思ってた。ぐっ……これじゃあ余計に……急ごう。
最高潮に達しそうなテントを抑えながら、俺は静かに部屋のドアまで歩みを進める。そしてなんとか辿り着くと……廊下へと脱出する事に成功した。
ヤバいだろ? 流石に下着一枚だけはダメだろ? ったく、こちとら健全な男子高校生だっての。
なんて1つ大きくため息をつきながら、少し安心感を覚えた俺は、ゆっくりと階段へと歩き始めた。けど、そんな矢先……
「……んっ……あぁぁ」
「美……耶……」
「陸……さんっ……」
襲いかかるのは、何ともリアルで……出来れば聞きたくない……2人の声だった。
おいおい、今度はこっちかよ! そりゃ、夫婦だしヤル時はヤルだろうし……仲良い証拠だとは思うぞ?
けどこのタイミング、この時間帯に致してるのか?
まぁ……仕方ないか。耳ふさいで……知らない振りして下行こう。
……あとトイレ行こう。うん。絶対に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます