第6話人面自転車

私の趣味はサイクリングだ。


休みの日になるとロードバイクに跨がり、山を登る。


坂道はキツいが、登ったときの達成感がクセになる。


今日も私はいつもと同じように山を登る。


最初はいいが段々とキツくなる。

「そろそろダンシングを使って登ろうか。」


身体を左右に揺らしながらこぎ続ける。


一心不乱にこいでいると、後ろから

リン!リン!とベルの音が。


「他の人と会うのは珍しいな。」

チラッと視線を横に向けると


人が乗っていない自転車が私の自転車と並走している。


それだけでも驚いたがもっとも驚愕したのが、サドルに老婆の生首が付いていることだ。


髪は白髪、目は窪んで真っ黒。

口は大きく裂けている。


私は逃げようと一生懸命こぐが、老婆の生首が付いた自転車は余裕でスイスイと追いついてくる。


もうダメだと思ったとき

老婆が喋りかけてきた。


「早いね 早いね はよ#死ね__いね__#」


そう言いながら、老婆の生首が付いた自転車は山の中に猛スピードで消えて行った。





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歪な怪談たち @kaka04

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