第35話
「おいで、おいで」
黒い竜に堕とされ記憶を失いイザベラという名前で冒険をして……イザベラの方は翼はなく人間の風貌。
方や兄の方はその竜と戦い力を貰い、三つツノが生え、羽は蝙蝠型に。
更にいうと元々二人共天使族という種族。
そんな事があって双子と言わなければ親が違う、種族さえ違うのではと思われても仕方ない程であった。
そんな弟イザベラ。
元はエリザベートという名前で、どちらも気に入っている上に偽名は割と趣味の冒険には最適。
天使族という種族が人間側で言う獣人。
獣人は人からの差別が著しい。その為イザベラも、冷や汗をかく場面の多い。
その度、羽を失った利も多いと、前向きに考えていた。
……今は前向きにもなれないけど。
というのも今どこかで竜対人間たちの戦いが起こっていた。名目上魔石の取りすぎ…らしい。
自分もと思ったけれど、止められかと言って家でゆっくりする気も起きない。
そういうわけで何故かフィールドワーク。
聞こえは良いが彼の専攻は医学。
魔石で魔法は使えるが、回復のものはない。
とても需要があった。それに戦後役に立てば……とソワソワしながら採取している。
前に騎士団に加入していた時。
客寄せパンダ要員でそこから「薬草取ってくる」と抜けたのが懐かしい。騎士団の人もサボりこそ至高って言う考えが多すぎて感化されていたみたいだ。
その騎士団も今繰り出されている。
つまりこの場所には誰もいない。
草木からはもちろん。獣からも滋養強壮など取れる。
今目の前にいるケサランパサランという魔物も毛は育毛剤に良いとされていた。イザベラはまだお世話になることはないが毛を湯煎すると微量の油が採れそれは安眠に効果があるオイルができる。また焼くと経口用の睡眠薬。たまに耐眠のものや逆に睡眠に効果のある魔石が取れる。
ふかふかなその子を狩ることはできず、イザベラは「ごめんね」と毛を貰っていく。
かわいいからと追いかけてしまって薬草採ってくると言った手前、その毛と手頃な薬草を探し始める。もふもふはついていく。
「かわいい」と言いつつもイザベラは前に騎士団の任務でかわいいからと魔獣の子供を追いかけてその親が激怒し大損害を出して失態をしていた。
それが頭を掠る。
ぶんぶんと頭を振って再び薬草探し。
「これは……」とちゃんと種類を確認しながら。
そして目の隅でもふもふが動くのも確認する。
もう少し奥に立ち入る。
丘があった。
そこは丘ではなく、魔石。
それに混ざって大きな岩がその魔石を囲っていた。
石碑は苔に覆われている。石碑と思ったのは、文字らしきものが見えたから。
見た目は本当に岩。
それを取り除くとドラグニルという姓だけ読み取れた。
たしか……と本の記憶。たまにナーシャが名乗る苗字を思い出す。
鬼人の子供を養った偉人。
どこかでナーシャも読んだのかな?
その岩の裏どうにか見れたものには絵が描かれていた。
竜たちが地上にひれ伏しているもの。
そんなことにはなって欲しくないなと思いその隣の方にいく。
進化の過程みたいに様々な種族が輪をなしている絵。
こんな文献が何で野放しに……。
そう思ったが、傍から見たら竜は魔物に見えるし、魔物から魔石が取れてそれで魔法が使えるというように見て取れる。今となっては普通の事だからこそ価値の無いものとここに放置されたままの可能性があった。
しかしこれがそれではないことをイザベラは知っていた。
何となく夢で経験しているから分かった。
大体は忘れてしまうが、これは夢でよく合う竜のことだと。
違う生物だったりすることが多いが、自分がもしなにかの生まれ変わりでアナスタシアと何かしらの関係がある……とかならこうしてまた兄のアナスタシアと出会えたことの嬉しさを嚙みしめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。