第36話 ライバルの出現は突然に!⑥

3人のそばに到着すると、


「「‥‥‥!!!」」ジッ!

優ちゃん、杏奈ちゃんが狂気じみた瞳で見つめてきた。


(そこら辺のホラー映画の数十倍は怖いと思う‥‥。)

2人の瞳は血走っていて、獲物を見据えたものだった。‥‥本当に幼稚園児?


「なんで‥‥、なんで!玲ちゃんはこっちに来たの!?」


「そうだ、やっぱり!玲司くんは私と一緒にいたいんだね!!」


「ご、ごめん。そういう訳じゃなくて‥‥。」


(あーー、どうしよーーーー。)

どうするべきか本当に何も思いつかない。

だって、正くんが原因なのに、本人は全く動かない。2人の女の子は激情状態だし。



(まぁ、とりあえず‥‥。)


「優ちゃんと杏奈ちゃんは仲良くなれないの?」

シンプルに聞いてみた。無理だと思ったが、なんとなく上手くいけばいいという軽い気持ちだった。


「「それは‥‥この女が玲ちゃん(玲司くん)に近づかなければ‥‥はぁ?」」


「喧嘩しないでよ‥‥。」


(女の子怖い、女の子怖い、女の子怖い‥‥)

2人の目的がなまじ一緒だから、こんなことになってしまった。


(仲良くしないと嫌いになるとか、言うか?)

正直、これが2人に1番効くと思う。

ただ、その時には2人の意識は全てこちらに向いてくる。

‥‥そんなの怖いなんてレベルじゃない。



「ふ、2人とも、さっきの‥‥罰ゲームは、無かった、ことに‥‥。」

八方塞がりの状態を正くんは勇気を出して、罰ゲームの撤回を求めた。


「正くん‥‥!!」

感動だ、あの青い顔の正くんが勇気を出した!

まるで、子供の成長を見守る親の気持ちみたいだ!


ただ、

「そんなの認められるわけないじゃない!!」

「お兄ちゃん!ありがとう!初めて感謝した!」

それで覆るようなことでは無かった。


「大体、出来ないことなんか言わなければ良いじゃない!」

「確かに、それはそうよ!!なんで、急に私を不安にさせること言うのよ!!」


(あ、結託しちゃった。)

2人は正くんに反発して、協力するようになってしまった。‥‥まずい。



(次は、今度は、俺の番だ。)

正くんは勇気を出したんだ。それなのに、精神年齢の圧倒的に上な俺がここで言わないで、

どうするんだ?


だから、言おう。俺がどうなろうと。

「そんなに、2人が、喧嘩するなら‥‥どっちも、嫌いになるよ!!」


僕は言った。勇気を出して言ったんだ!


「「‥‥‥!」」ジッ!!

(あ、早くも後悔しそうだ‥‥。)















勇気を出した、男子2人組。

本当に扱いに困る。

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