第20話 嫌いと言う感情の方向。
遠足の翌日は土日で休みであり、翌週から幼稚園に登園することとなった。
当たり前の話だが、お隣に住んでいる正くんも俺と同じ幼稚園に通っている。
(まぁ、今のとこ会ってなかったけど。)
俺は正くんを徹底的に避けていた。
‥‥気まずかったから。
いや、だって!
あんな怒った顔で「妹に近づくな……!」っ囁やいてくるようなやつとか‥‥、
(絶対近付きたくない!!)
だが、そんな風に考えて、いくら避けたとしても、向こうから来られたら成す術はないというわけで‥‥、
俺の目の前には正くんがいる。
(帰れ!!)
俺がいくら帰って欲しいと思っても、正くんには関係なく
「おい、この前、言ったこと覚えているか?」
「は?‥‥覚えてるよ。」
あまりに強引で怒りが出たが、何とか堪えて、言葉を返す。
だが、どうやら怒りを買ったらしく
「なんだよ!その態度は!」
(なんで、そんなに怒られなきゃいけないんだよ!)
「ムーリド」の時もそうだけど、正くんと会うと、いつも怒ってしまう。
(やっぱり、優子のことが‥‥、)
だが、それだけではなかった、
「杏奈がお前なんかを選ぶ意味が分かんねぇよ!」
その言葉が1番、腸が煮えくり返るような思いをしたからだ。
(なんでだ?‥‥今のは、優子が悪く言われたわけではないのに、)
「‥‥‥。」
「何にも言えないのか?
‥‥じゃあ言ってやるよ、杏奈には俺みたいなやつが1番お似合いなんだ!!」
なんで、俺が杏奈ちゃんを好きみたいな感じなんだ‥‥?
でも、そんなことよりも、杏奈ちゃんの兄が正くんで、なんだか可哀想になってきた‥‥。
「‥‥‥。」
またしても意味が分からなくて黙ってしまう。
だが、それが良かったのか、正くんは満足そうにどこかに向かった。
‥‥去り際までウザいって、心底残念なやつだな。
(‥‥それより、俺は何に怒っているんだ?)
今までは、優子を奪われたことを怒っていると思っていた。
‥‥いや、そのことにも怒っていたが、それだけじゃなくて、
俺が思い悩んでいると、
「れいちゃーん!!」
優子が俺のそばまで来た。
「れいちゃん!?」
「うん!これからは私、’れいちゃん’って呼ぶね!」
「わかった、じゃあ、ぼくは’ゆうちゃんって、呼ぶね!」
「!!?‥‥う、うん、そうしよ!」
(いやー、ビックリした。)
昔の呼ばれ方で、つい、俺も昔の呼び方になった。‥‥まぁ、問題はないかな?
特に困ることもないだろうし。
「ふふふ、ゆうちゃんかぁ‥‥。いいね!」
(可愛い、やっぱり俺みたいに’魅力’がないやつが優子と付き合えたのは’奇跡’みたいだよなぁ。)
もう俺ロリコンになろうかなぁ?
‥‥いや、それはキモいな。
玲司がロリコンになろうかなと言っていますが、もうとっくに、立派なロリコンですよね!
次回も早めに投稿するので、コメントを頂けると幸いです!
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