第2話 肉親との再会

(誰だ?)


俺の目の前には、目に涙を浮かべる男と女がいた。‥‥幸せそうだ。


(どこだ?)


ベッドの上で俺は女に抱えられていた。

‥‥綺麗なとこだ。


そう思っていると、


「オギャー!!オギャー!!」

と、赤ん坊の叫ぶ声が聞こえる。


(可哀想に‥‥。お母さんが助けてあげないと。)


昔、大悟の妹がいて、なんだか懐かしくなる。


(どこで泣いているんだ?)


そう思って、辺りを見回した。

だが、どこでも、赤ん坊は泣いていなかった。


よく聞いてみると、泣いていたのは俺だった‥‥。


(自分だけど、自分ではないという感覚だ。)


自分の手を見てみる。

まるで、赤ん坊の‥‥いや、赤ん坊の手があった。


男と女をよく見る。


(あぁ、両親か。)


そこには、俺の両親、福山玲蔵と福山玲子がいた。


(タイムリープか?)


そうかもしれない。


‥‥ただ、そんなことはあり得ない。

俺は『リアル』。‥‥そのはずだ。


「あなた、この子の名前は玲司にするのよね?」


「あぁ、僕らの運命にちなんでね。」


俺の名前は2人の名前が似ているということが由来だ。

もっと、他にあるだろ‥‥。


「ふふふ。」


「ははは。」


それでも、2人は嬉しそうに、楽しそうに、

幸せそうだった。


まるで、2人は離婚したのが嘘のようだ。




だが、そんな幸せは長く続かなかった。


「なんで、トイレの蓋も閉めれないの!?

それに、脱いだ服もそのままで!!」


「無意識なんだから、仕方ないだろ!!」


しょうもない喧嘩だ。

だが、そんな喧嘩が何回も続く。


お互いのストレスは溜まって、溜まって、溜まる。

俺が2歳になる頃には、もう、お互いに冷めてしまっていた。


そうか、また、俺は同じ人生を進むのか‥‥。


‥‥いや、変えられるかもしれない。


「やってみよう‥‥。」




「やめてよ、2人とも。」


それがどうなるか分からない。


「仲良くしてよ。」


それでも、試してみよう。


「僕、2人に喧嘩して欲しくない。」


もう、一度終わってしまったんだ。







次回からは、2歳から入ります。

2歳まで玲司が何もしなかったのは、玲司の決心がつかなかったからです。





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