第10話
「ってわけで、案を挙げていこう! サイッコウのVRMMOを作ろうぜ!」
俺の第一声に、葉月が言った。
「ファンタジー。これは外せない」
「当然だな」
うんうん。頷く皆。葉月は続けた。
「けどさ、二番煎じはどうかと思うんだ。開拓ゲームでも、同じコンセプトのゲームにお客さん取られちゃったし」
「そもそも自分たちのところに来たお客を受け止める事ができなかったんだけどな」
「ファイヤーアローでバーン! はもう他のゲームで味がしなくなるまでやってるし」
うんうん。
「領域展開したい!」
その言葉に、みんなの見えない猫耳がピコっと立った。
「領域展開!?」
俺は驚く。
「領域展開!」
「領域展開!!」
「領域展開⭐︎!!!」
刹那、海斗、さとりが叫ぶ。
桜子はすっかりその気でポージングしてる。
「領域!! 展開!! 華園散陣!!」
異能で花びらを舞わせてまで格好をつけただと!?
「俺たちサイキョー⭐︎」
花子さんと蜘蛛子さんがウェーイと拳と足を振り上げる。
「そんな……でも難しいんじゃない?」
「だよな、領域展開なんて……」
「そうだよ、領域展開なんて……」
「資金がある! 人手がある! いけるって!!!」
「領域展開って何?」
その瞬間時が止まった。
「ええ! エンターティナーがあの名作を知らない!?」
「嘘でしょ!? あの名作を!??」
「社長! 勉強不足なのでは!? ちゃんと遊んでる!?」
わちゃわちゃとなって、俺はDVDと漫画を渡された。
勉強中……
インストール中……
さあ、みなさんご一緒に
「領域展開!!!!!」
ドドーン!
ということで、我が社では領域展開できるVRMMOを開発する事になったのだった。
そこで桜子が告げる。
「販促アニメを作りましょう!! 販促アニメ!!!」
刹那も負けじと声を上げる。
「協力技作りたい!」
海斗も声を上げる。
「お洒落……いや、ここはオサレポイントで戦ったりしたい!」
蜘蛛子さんは衣装に力を入れたいとアピールする。
「運動音痴にもできる感じがいいです!」
花子さんも負けずにアピール。
「長所ばかりじゃつまんないので、欠点を作りたいですね⭐︎」
最後に俺が!
「グロカワのマスコット完備!!」
ドドーン!!!
そんなわけで、企画は動きだしたのだった!!!
名付けて!
「ウィッチ・コンチェルト」
ウィッチ・コンチェルト。個々で違うとされる術式の再現と協力システムの導入。すなわち無限×無限。金と権力と魔力に物を言わせた、デスマーチに次ぐデスマーチの、AIにすら唾棄された伝説の碌でもねぇ企画となることを、この時点での俺達はまだ知らない……。
嵐月記 @yuzukarin2022
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