明けない夜*2*Side:He

細いその指に、自分のそれを絡ませる度に

時の流れを密かに感じた。


君は笑う。

なんの恐れも知らないような、そんな顔で。


真夏の昼下がりに

日差しを避けるように入った木陰で。


銀杏の葉に道を覆われ

椛の葉に空を彩られた秋の夕暮れに。


うっすらと積もった雪で

小さな雪だるまを作った冬の朝に。



ずっと、ずっと君は笑う。


命目覚める春の、まだ長い夜の帳が

君の瞼と共に、ゆっくりと降りていく時でさえ。


ずっと、僕の隣で笑うんだ。


白く細い手に、一滴、一滴と雫が落ちていく。


弱音を吐いた時に、抱きしめてくれた温もりが恋しい。



…ありがとう、さようなら。


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