見習い幽霊さんが毎日うちにやってくる話

さーお

第1話

「うーん…まあ悪くなかったかな」

今日、入学式を終えた浅倉湊は今日一日の行動を振り返る。なんでも、最初は肝心なことだ。一歩ミスをすればこれからの生活に支障をきたすかもしれない。だが、湊は悪くもなく良くもない微妙なスタートを切った。


湊が通っている聖光高校は中高一貫校となっておりほとんどが聖光中から上がってきた中入生だ。湊のような高校から受験して入る生徒は高入生と呼ばれる。

教室に入ると中入生のグループは作られ、高入生はそこのグループに入りずらいのだ。かといって高入生はクラスに3人ほどしかいないので席が近くになることがまずない。そのため席が近いグループに必然と話しかける流れである。

それにプラスしどんな先生が来るかわからない緊張感などが混ざり、湊は疲弊していた。

「まあ考えても無駄だ」

と言葉を残し、布団にダイブした。


目が覚めると妙に頭の位置が高い気がした。枕は低反発タイプが好きなのでだいぶ沈むはずなのだが今は感触が違う。だが、高反発…という感じでもない。

恐る恐る目を開けてみる。仰向けに寝ていたので見えるのは天井のみだ。一応枕?を触って確認してみる。

「あれ?枕が縦に長いような…」

覚悟を決めて湊は振り向いた。すると黒髪ロングないかにも何でもできそうなお姉さん系な女性に膝枕をされていた。

だが、そんなことより驚いたのは若干透けてるということだ。

「うわぁっ!なんで…すけ…え?だれ?」

「お目覚めですか?」

「いや、お目覚めですか?じゃねえよ?」

「あ…間違えてしまいました…いつもの癖で」

「もうわけわかんねぇ」

「すみません。私の名は…クロムでございます」

(なんか、名前に聞き覚えが…あ!これモンタワのヒロインの名前じゃん)

モンタワとは湊がはまっているゲームの名前であまり有名な方ではない。しかもクロムとこの幽霊?みたいな人は、すごく似ているのだ。

「まさかの本人ご登場」

「なんですか?」

「いや、こっちの話だ。」

「まあ、いいです。それでは」

「いや、まてまて。結局なんだったんだ」

「あ、言い忘れてました。私、見習いの幽霊なんです。だから浅倉さんを驚かせないといけなくて…なので一旦帰ってまた準備してきます!」

「お、おう…がんばれ?」

「では!」

そう言い残すと、壁をすぅっとすり抜けて帰ってった。

(普通に不法侵入…)


数時間後

湊はクロムのことが頭から離れないので、久しぶりにスマプラをすることにする。

(一人でcpu対戦か…やはり友達とやるのに限るな。)

「よし!cpuレベル9まで倒せたぞ!ってあれ?対戦モードになった?」

「私も準備万端です!」

「いや、脅かす方の準備しないんかい」

「はっ!忘れてました…」

「いや絶対嘘だろ!その持ってる袋何かと思えばお菓子とジュース入ってるし!もうこれ確信犯だろ」

「いつの間に…!?」

「見習い幽霊とか言ってるけど嘘つくことは熟練だな」

「くっ…ここで負けては、幽霊失格…私はこんなものにっ!」


数分後

「ここでひっさつぅクロムショットぉ!!」

「くそっ!クロムさん強いな…」

「ふっふっふっこれからは鉄の女と呼んでください」

「メンタルは豆腐並みに崩れやすいけどな」

「明日から頑張ります!明日から!!」

「その言葉フラグにならないといいね…」

この後徹夜してスマプラやった。


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