雑魚兵士が初陣したその日に正義の味方のレッドを押しつけられ二重生活をしなくちゃならなくなった。
桐生連
第1話 異世界へ進行
ここは魔界、かつては全てが汚染されていた死の世界だった。
ところがある時1人の異世界人が率いた戦隊と言う革命軍が魔王を倒し神秘の力で浄化し死の世界が美しい緑の世界を復活したのだ。
だが、平和になっても悪い奴は何処にでもいるのが定めなのである。
かつて魔界を支配した魔王は死んだ、その後釜が後に現れ再び美しい魔界を支配しようと暗躍を初めてたのだ。
魔王軍の軍艦
中では魔王軍の下っ端兵士達が武器を構えて座り待機している。
「いよいよ本番だな。お前は緊張しないのか?」
「する訳ないだろ!!俺たちは魔界をより平和にする為に集められた精鋭部隊の一員なんだぜ。選ばれたんだ自信を持たないと!」
「下っ端の二等兵だけどな…」
「それを言うよヴィラン!」
「その名で呼ぶなっ!」
彼の名はヴィラン・マステ。
両親共に悪の組織の科学者の魔人族の関係者で悪の組織の息子だからヴィランと安直な名前をつけられたのだ。
「安直なんだよ。悪の組織だからヴィランなんて…」
「まあいいじゃないか!俺たちは選ばれ戦士だ。胸を張ればいいのさ!」
「僕達二等兵は数合わせの使い捨てなんだよ」
「嫌な事言うなよマルス!」
「ハヤウェイが単純なんだよ!」
言い争っているのは、金髪がハヤウェイ・ブレイブ。眼鏡でおかっぱがマルス・アップルバルス。2人ともヴィランの幼馴染の男友達である、
「喧嘩はよせよお前達」
「俺は絶対にビックになる!」
ハヤウェイは指を上げ高らかに宣言した。
昔から懲りないんだから…
ハヤウェイは昔から馬鹿だからね。
ハヤウェイは目立ちたがり屋でいつもビックになると言っているが大体いつも馬鹿をやらかしては鼻つまみ者にされている残念な奴だ。
「あのね。ビックって言っても僕達は魔王じゃないから特別な能力無い一般市民なんだよ」
「だからランクアップして幹部に昇進して魔王に成り上がるのさ!」
「ハヤウェイさ魔王にどうやってなるか知ってるのか?」
「え?それはな…マルス説明してやれ!」
知らないのかよ!!
「はぁ…魔王になるには魔石を手に入れてないとならないって士官学校って習ったじゃないか。」
「魔石って具体的なんだっけ?」
「僕達が普段使ってる魔宝石と異なる石だよ。」
魔宝石は暮らしで当たり前の様に使われているクリーンなエネルギーの元である。
魔人族の魔力と違い予めエネルギーが詰まっている宝石である。
何でもかつての戦隊とか言う革命軍が魔界に齎した代物らしい。
「魔石は一部しかない貴重品で魔王軍でも一部しか使えない代物でそれを使えば魔王に進化して晴れて幹部の一員に迎えてもらえるの。わかった?」
「はいはい。マルスは馬鹿な蘊蓄だけは多いよな。」
「君が説明しろと言ったんじゃないか!!」
「まあまあ」
激怒するマルスを止めるヴィラン。
艦内からアナウンスが流れる。
兵士に次ぐまもなく目的地の異世界だ。これは訓練では無い。命懸けの戦いだ、死は当たり前だ。しかし、我々には優れた科学力がある恐れる物は無い。魔王軍の為に心臓を投げ捨てるべし。
怖い事抜かすな…
ヴィランは出来れば逃げ出したかった。
正直言ってヴィランは魔王軍に入りたくはなかったのだ。
親の面目を守る為に入っただけで人殺しなんかしたくないのだ。
いくら自分達の世界のエネルギー問題改善の為に異世界を再び征服する軍団なんてまっぴらである。
やがて窓の外が明るくなりワームホールから戦艦が抜け出る。
ワームホールの先はクリングルと呼ばれる異世界でそこには身体が宝石の魔物が生きずいた美しい世界だった。
艦内にアラームが鳴り響くとヴィラン達は髑髏のマスクを被り武器を構えると他の兵士達に混ざって待機する。
戦闘機や二足歩行する戦車も配置についた。
「いいか貴様ら!俺が貴様らの教官である、ジャービス将軍だ。」
現れた黒光したいかにも強そうな黒髑髏の鎧を纏った幹部が大剣を構えている。
「貴様らはあくまで死ぬ事が仕事だ。俺の邪魔をするなっ!!全ては魔王様の為に!!」
全ては魔王様の為に!!
艦内に響く掛け声の元兵士達は武器を天井へ掲げた。
「では死にに行け!!屑共!せいぜい無駄死にをしてくるんだな!」
ジャービスはそう言うとレバーを下げると空いたの目の前のハッチではなく床だった。
「「「え!?」」」
兵士達は次々と戦場へ落ちていく。
だんだんと軍艦が遠のいていく。
ヴィラン達3人は互いに抱き合ったまま森に落ちた。
「いてて…何だよこの扱い!!」
「ジャービス将軍。鬼将軍だったな」
「僕達に死ねだとよ…」
「言い方があるよな。ていうかここ何処だよ?」
「ちょっと待って。」
マルスがマスクを外すと右手の時計をいじってマップを表示した。
「これは?」
「この異世界の地図だよ。僕達はどうやら進行予定の国の側の森に落ちたみたいだね」
「進行先はたしか…ガ、ガ…」
「ガネット」
マルスが答えた。
ガネットは確かかつて魔界を倒した勇者達の拠点だった王国だ。
しかし、それはあくまで50年前の話だ。今はもうその勇者達は居ない。
確か役目を終えたと聞いたけど。
「よしチャンスだな!」
「チャンス?」
「何で?」
「俺たちは今目的地の側に居るんだよな?」
「落とす予定の国が目の前にあるんだ!俺たちが1番乗りして親玉を叩く!」
「「馬鹿かお前は!!」」
ヴィランとマルスはハヤウェイを怒鳴り上げた。
「馬鹿ってなんだ!?俺は間違った事言ってないぞ!!」
「アレ見てもそれ言えるのか?」
ヴィランの指先に見えるのは、巨大な赤い宝石の恐竜。
「ウガァァァァァァ!」
雄叫びを上げる宝石の恐竜。
「…」
「アレはかつて勇者が飼い慣らした宝石獣って言う魔物ですね。実物を見たのは初めてですよ!!」
目をキラキラさせながら喋るマルス。
「いやデカ過ぎるだろありゃ!!」
「とりあえず隠れるぞ!」
ヴィラン達は草陰に隠れた。
「アレ全部魔宝石で出来てるのかよ」
「ええ。高純度のマナの塊で死骸も永久にエネルギーを作り続けると本で読みましたよ!」
「楽しそうだなマルス」
ガサッ
ん?ガサッ?
ヴィランの頭の上に何か落ちてきた。
「何だ?」
ヴィランは上を見ると、そこに居たの緑色の宝石のカマキリである。
「うわぁ!デカイカマキリ!?」
「落ち着けあれよりは小さい虫ケラの宝石獣だ」
「カマキリの宝石獣とは見たことないですね!」
「いいから助けて!!」
叫ぶヴィランからカマキリの宝石獣を引き剥がすとカマキリは何処かへ飛んでいく。
「あんなのがうじゃうじゃ居るのかよ…」
ヴィランはもう帰りたかった。
こんこん
「何だよハヤウェイ?」
こんこん
「つつくないで下さいよハヤウェイ」
「俺じゃないわ!」
ハヤウェイはヴィラン達の前に居る。
後ろから誰かに突かれた2人は振り向くと…
「ぐるるるる!!」
涎を垂らしギラギラ光る金色の目で睨みつけてる赤い狼が居た。
「「「うわぁぁぁぁぁ!!」」」
3人は声を上げて走り出す。
「ガウ!ガウ!」
赤いオオカミは3人を追いかけて来る。
「何だよあの魔物は!?」
「宝石じゃないよな!?」
「見りゃわかるわ!」
木の根に足を引っ掛けて転ぶヴィラン。
「あいた!!」
「ヴィラン!」
「危ないぞ!!」
オオカミが牙を剥き出しにヴィランに飛びかかる。
「ヒイィィィィィィィィィィィィ!!」
声を上げるヴィラン。
「こら!ウルフィ!お座りであります!!」
「ワン!」
ボフンと煙が立ち上ると小さな赤い子犬サイズのオオカミが舌を出しながらハアハアしてる。
「え?」
「ワン!」
「全く、実験中に逃げ出して。何してるでありますか!!」
「くーん…」
「くーんじゃないであります!」
小さな子犬を叱るのは茂みから出てきたフワフワな髪を束ねた羊の角を早した魔人族の女性で白衣を纏っていた。
「ごめんね。君達大丈夫でありますか?」
「は、はい」
「あんた魔人族か?」
「そうでありますよ!」
「魔人族が何で異世界に?」
「君達魔界の若者でありますか!?いやぁ、懐かしいであります。もう何年も帰ってないでありますからなぁ〜」
科学者っぽい女性は笑う。
「あ、アンタ誰?」
「私?私はファーリーヌ・アン・ベルゼブブ・シュラウド!ベル博士って呼んでであります!」
「ベルゼブブってあの魔王討伐に関わった革命軍の科学者の!?」
「君知ってるんでありますか!私はいかにも戦隊の科学者であり、今はガネット女王陛下の直々の研究員でありますよ!」
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