声が出せない俺の意図を、親友のメイドだけが読み取ってくる。

黒崎灰炉

プロローグ 冷たい雨の夢

真冬の冷たい雨に濡れながら、立たずむ男の子がいる。小学生くらいだろうか。泣きながら誰かの名前を呼んでいる。だが彼の声は聞こえない。そして彼の前には同じく男の子がいる。彼は泣いている少年に何かを言っているようだった。同じく何も聞こえない。二人の、名前を呼ぼうとする。なぜか二人の事を知っているような気がしたから。しかし、声が出せないことに気づく。必死に、彼らの名前を呼ぼうとするが、俺の思いは届かぬまま、彼らはそのまま消えてしまう。



いつからか、あの夢を度々見るようになった。あの夢の正体は何なのだろうか。あの少年達は、誰なのだろうか。そんなことをあの夢を見るたびに考えるが、いまだ答えはわからない。







                          

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る