(343)上下関係

 ビジネスをする上で、顧客や上司とメールでやりとりする時などに使う「敬語」「謙譲語」などを使うシーンによく出くわすが、最近はこういったマナー的なものは無くなってきている気がしなくもない。


 理由は色々ありそうだが、やっぱ一番は外資系企業が日本に台頭した事で、欧米文化が日本の企業に定着してきたという事なのかもしれないな。


 僕も気が付けば五十路に突入したオッサンだという事もあり、取引先の顧客も僕を「目上の人扱い」する事が増えてきた。


 が、メールの文章は意外とフランクで、僕も先方がそういう感じの場合は、同じ様な感じで返す事が多くなってきた。


 まぁ、新規顧客などの、まだ親しくない顧客の場合は別なのだが、良い関係が築けた顧客とのやりとりは概ねそんな感じだ。


 が、若い営業マンが僕の元に営業に来る場合は話が別で、僕はそれなりにビジネスマナーというものを気にしている。


 例えば「わかりました」という意味で「承知しました」「了解しました」みたいな言葉を使う場合、目上の人には「承知しました」、目下の場合は「了解しました」みたいに使い分けるといった感じだ。


 が、先日の業者からのメールで「わかりました」とそのまま口語の様な感じでメールを送られた時に、


「新人教育がまだできていないんだろうな」


 などと思ってしまう訳で。


 自分の会社の事を「弊社」と書くのは一般的だと思うが、新人営業マンのメールで「当社」と書かれると、広報か何かの文章と間違っているのではないかと思ってしまったり。


 別に特別上下関係を気にする訳では無いのだが、こうしたビジネスマナー的なものがきちんとできていないと、大切な顧客に会わせようとは思わないし、その業者のサービスクオリティに一抹の不安を抱えてしまうのも事実な訳で。


 では、執筆している作品の文章はどうかというと、僕の場合はあまり堅苦しい表現はしない方針を取っている。


 だって、堅苦しい文章だと、読んでくれる人が少なくなりそうなんだもの。


 でも、ビジネス的な見地に立つと、読者は「顧客」で作者は「販売元」みたいな関係な訳で、もしかしたら「謙譲語」で書くのが正しいのではと考えてしまったりもする訳で。


 まあ、「読みやすい文章で綴られた作品」という商品を提供しようとしている訳だから、作品の文章を堅苦しくする必要は無いのだろうが、いざ僕が読書をする時には、「顧客」というよりも「先生の作品を拝読する生徒」みたいな位置づけの様な気もしている訳で。


 となると、もしかしたら上から目線の文章で威圧的に読まされる作品の方が、僕には合っているのではないかという説が浮かび上がってくる気もする訳で・・・


 団塊ジュニア世代は「上下関係を気にする世代」としても認知されているとか聞いた事もあるので、もしかしたらこれは世代の特性なのかも知れないな。


 時代の流れに合わせて、僕もそんな事は気にせず、気楽に作品を楽しむ様にしようかね。


 きっと、ほとんどの読者がそんな気楽さで読書を楽しんでいるのだろうし。


 最近、新作を気楽に書きすぎて、そんな余計な事を考えてしまったが、ちょっとマインドをリセットしようかと思う、そんな今日の僕なのであります。

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